ジャコウネコのコーヒー豆(コピルアク)を虐待から守るスタートアップ-Afineur

ジャコウネコのコーヒー豆(コピルアク)を虐待から守るスタートアップ-Afineur

世の中には意外なものが高価に売られていることがあります。コーヒー豆についても想像の斜め上をいくような意外なことはたくさんあるのですが、その中でもジャコウネコのコーヒー豆(コピルアク)は常識の範囲を超えています。 ジャコウネコのコーヒー豆(コピルアク)は世界で最も高いコーヒー豆であり、日本でもヒルトンホテルなどでコーヒー1杯で5千円〜1万円と値段で売られていたりします。しかし、そんなジャコウネコのコーヒー豆の正体は”猫のうんち”なのです。

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コーヒー豆はコーヒーチェリーという果実からできているのですが、ジャコウネコはこのコーヒーチェリーが大好物でよく食べます。しかし、コーヒー豆は外殻に覆われていることもあり、完全に消化されることなく排泄物の中に消化しきれていないコーヒー豆が出てきます。 この排泄物に含まれているコーヒー豆はジャコウネコの胃液などで発酵されており、それがコーヒー豆の持つ抜群の美味しさを引き出すと言われています。その美味しさと希少性からジャコウネコのコーヒー豆は高値で取引をされており、世界で最も高いコーヒー豆とも言われています。
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ジャコウネコは虐待されている?!

世界で一番高いコーヒー豆が実は猫のうんちと聞けば、笑い話にもなるかもしれませんが、実際はその裏で深刻な問題も起きています。それはジャコウネコへの虐待です。あまりにもジャコウネコのコーヒー豆は高く売れるので、コーヒー農家はできるだけたくさんのジャコウネコのコーヒー豆を作ろうとします。 そのためにジャコウネコを檻の中に入れて逃げ出さないようにし、コーヒーチェリーを無理やり食べさせて排出をさせるような業者が急増しました。このジャコウネコを閉じ込めて無理やり食べ物を食べさせる行為はお金儲けのために虐待をしているのと同じなのではないかと批判が続いています。

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しかし、批判はいくら起きてもジャコウネコを虐待してコーヒー豆を生産する農家はあとを立たずに社会問題になっています。
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Afineurは人工的にジャコウネコのコーヒー豆を作る

そんな状況を打破しようとしているスタートアップがAfineurです。Afineurはニューヨークのスタートアップなのですが、ジャコウネコがコーヒー豆を胃液で消化するのと同じメカニズムを人工的に作り出すことで虐待をなくそうとしています。 会社名:Afineur 本社:ニューヨーク 創業:2014年 資金調達額:600万円($60k) もともと創業者兼CEOであるCamille Delebecqueはハーバード大学で科学を専攻しており高い専門性を持っていました。一方でコーヒー好きであることもあって毎日のようにコーヒーを飲んでいる中でジャコウネコのコーヒー豆のことを知りました。 その際に、自分が持っている知識を持ってすればこの問題を解決できるのではないかと思ったのが創業のきっかけです。創業の際にはIndieBioから 600万円の投資を受けて事業を展開し、創業翌年の2015年には1千万円($100K)を超える売上をあげました。 初めのうちはKicksterというクラウドファンディングを活用してユーザーを獲得しており、その理念に共感する多くのユーザーから支援を受けました。
高レベルな科学知識を活用してジャコウネコのコーヒー豆を人工的に再現する (参照:Afineur

ジャコウネコのコーヒー豆を3,000円/150gという破格で販売する

Afineurのすごいところはジャコウネコの虐待をなくすという倫理的なビジョンだけではありません。たとえどんなに優れたビジョンがあっても経済性なしではそのビジョンを実現することができません。 Afineurは倫理的に優れたビジョンだけでなく経済的にも優れたビジネスモデルを持っています。ジャコウネコのコーヒー豆は値段が高いことで知られていますが、Afineurはコーヒー豆150gで3,000円というかなり安い値段で販売しています。

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そのために既存のジャコウネコのコーヒー豆を購入していたユーザーを全て乗り換えさせるポテンシャルを持っており、ジャコウネコに関するビジネスを大きく変革させる可能性があります。 忠実な味の再現や販路の拡大など解決すべき課題はまだあるようですが、Afineurのビジネスはアメリカを中心に多くの人によって注目されています。
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ジャコウネコ(コピルアク)という世界一価格が高いコーヒー豆
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