世界で一番イケてるカフェはどこでしょうか。当然人それぞれ違っていて、それぞれ好きなカフェがあると思います。おそらく世界中で統計を取ったらスタバが圧倒的に1位になりそうな気はします。
若者から大人まで人々の生活に深く入り込んで、友達と話したり、仕事や勉強をしたり、ちょっと休息したり、もはやなくてはならない存在となっています。しかし、もう少しフォーマルにカフェの歴史的にも有名なカフェがイタリアにあります。
その名前は「カフェ・グレコ」という名前のカフェであり、何百年もの間、文字通り世界中のコーヒー好きを魅了し続けてきており、今でもイタリアに行ったらとりあえず行くべき有名スポットとしてよく旅行雑誌に載っています。今回はそんなカフェ・グレコについて書いていきます。
目次
1). イタリアのカフェ形態
2). カフェ・グレコとは何か
3). デミタスカップを発明したのはカフェ・グレコ
4). ゲーテやワーグナーなど著名人からも愛された
5). 現在のカフェ・グレコ
イタリアのカフェ形態
まず大前提としてイタリアのカフェは3つの形態に分かれています。1つ目の最もメジャーなのが、立ち飲みをするタイプのカフェである「バール(BAR)」です。日本の立ち飲み居酒屋のカフェ版のようなイメージです。
- 参照記事
- バールマンとバリスタの違い-イタリアのバールで働くプロ達
2つ目が、テーブルとイスがあるタイプの「カフェ(CAFE)」です。日本は基本的にすべてこのタイプのカフェですね。オーダーして注文したコーヒーを席に座って飲みます。
3つ目が、洋菓子の比重が高い「パスティチェリア(PASTICCERIA)」です。どちらかと言うと洋菓子をウリにしていて、それに合わせるためにコーヒーも提供しているようなイメージです。
実際にはバールとカフェが半々になっていたり、はっきりとタイプが分かれているわけではないので一概には言えないのですが、このようにイタリアではカフェがいくつの課のタイプに分かれています。カフェ・グレコもバールとカフェが一体化しているタイプのカフェです。
イタリア人にとってカフェはもはや生活に必要不可欠です。日本人にとってコンビニが必要不可欠であるのと同じように、隙あらばカフェを利用して一息つきます。イタリアでカフェは人々の生活を支えていると言っても良いでしょう。
カフェ・グレコとは何か
カフェ・グレコ とはイタリアのローマにある世界的にも有名なカフェです。1760年にローマのコンドッティ通り86番地で開業しました。その頃に日本はまだ江戸時代で、ヨーロッパでは産業革命が起きたりフランス革命が起きたりしていました。
正確には「アンティコ・カフェ・グレコ (Antico Caffe Greco)」なのですが、省略してカフェ・グレコとだけ呼ばれることが多いです。ローマでは初のカフェであり、イタリア全体で見ても、ヴェネツィアの「カフェ・フローリアン」に次いで2番目に古いカフェです。
開業した1760年当時、ローマは世界的にも大きな国際都市であったために、カフェ・グレコも多くのドイツ人の観光客でにぎわっており、「カフェテデスコ(ドイツ人向けのカフェ)」というニックネームもついていました。
開業したての頃は内装も外装もそこまで立派ではなく、どちらかというと薄暗くて不気味なカフェだったそうです。しかし、カフェ・グレコの三代目のオーナーが内装と外装を大きく改善させました。
室内にはゆっくりとくつろげる小部屋をいくつも作り、机や椅子など装飾品にも気を使いました。その結果、ドイツ人だけでなくイタリア国内からも多くのお客さんが来るようになり、一躍有名になりました。
- 参照記事
- カフェ・フローリアンとは?ヴェネツィアにある世界最古のカフェ
デミタスカップを発明したのはカフェ・グレコ
カフェ・グレコを有名にした1つの出来事としてデミタスカップの発明があります。デミタスカップとは普通のマグカップよりもひと回り小さいコーヒーカップであり、日本でもたまに見かけますが、実はこのデミタスカップを発明したのはカフェ・グレコだったのです。
1806年に当時のヨーロッパで絶大な勢力を誇っていたナポレオンが大陸封鎖令というものを発令して、ヨーロッパの内陸国がイギリスからの輸入されてくる製品の購入を禁止しました。そのためコーヒー豆が不足して、満足にコーヒーが飲めなくなってしまいました。
そのためにイタリアの多くのカフェはコーヒーを薄くしたり、コーヒーの代わりにコーヒーに似た味のものを提供したりして対応しましたが、カフェ・グレコのオーナーは味を誤魔化すことに大きな抵抗を覚えました。
そこでマグカップを普通よりも小さくしてそこにコーヒーの量だけ減らしたコーヒーを入れて、普段よりも安い値段でコーヒーを提供しました。これが大いに人々の心を掴んでヒットして、それ以降はローマの多くの有名人も訪れるようになりました。
ゲーテやワーグナーなど著名人からも愛された
カフェ・グレコのすごいところの1つは、歴史的な偉人によって愛されて常連客の顔ぶれの次元が高いところです。芸術家も政治家もローマを訪れた偉人は皆カフェ・グレコに立ち寄っていました。
具体的な名前を挙げると、詩人のゲーテ、作家のアンデルセン、音楽家のワーグナーやリストやロッシーニなどが有名です。特に芸術に詳しくない人でもなんとなく聞いたことがある有名人が多いかと思います。
昔からカフェ・グレコは芸術家たちの溜まり場として利用され、お互いに語り合うことで刺激し合っていたのです。そういう意味では芸術的な観点からもカフェ・グレコが残している功績は大きいかもしれません。
- 参照記事
- アメリカンコーヒーという日本でしか通じない謎のコーヒーとは
現在のカフェ・グレコ
歴史的な意義が強いカフェ・グレコですが、今現在も有名なカフェとして世界中から多くの観光客を集めています。「ローマの休日」でも有名なスペイン広場という観光名所から歩いて数分のところにあり、いつも多くのお客さんが入っています。
入ってすぐに立ち飲みカフェのバールがあり、奥には座ってゆっくりと飲める個室が広がっています。 大理石でできた丸テーブルや、アンティーク家具、壁にかかっている絵画など内装はいかにもヨーロッパという感じです。
カフェ・グレコは国の重要文化財にも指定されています。値段は少し高めですが、カフェの歴史を肌で感じることができます。過去に偉人たちが過ごしたのと同じ空間で飲むコーヒーは格別かもしれません。