ロングブラックなどオーストラリアは独自のコーヒー文化を発達

ロングブラックなどオーストラリアは独自のコーヒー文化を発達

オーストラリア出身の人と仕事をする機会が昔ありました。その人は日本語を流暢に話す典型的なイケメンかつチャラ男だったのですが、暇さえあればオーストラリアのコーヒーは世界で一番美味いという話をしていました。 世界で最も美味しいコーヒーが飲めるのは、アメリカでもイタリアでもなくて、オーストラリアだと誇らしげに主張していました。本当に味が世界一かどうかは好みの問題なので分かりませんが、僕はそこまで自国民から愛されるオーストラリアのコーヒーがとても気になったことを今でも覚えています。 オーストラリアはヨーロッパからもアメリカからも地理的に離れている影響もあり、独自のコーヒー文化を築き上げています。今回はそんなオーストラリアのコーヒー文化について書いていこうと思います。
参照記事
イタリアのコーヒー文化-スタバなどシアトル系とは違った文化

オーストラリアのコーヒー文化

オーストラリアでコーヒーが飲まれ始めるようになったのは第二次世界大戦後の1950年頃からでした。オーストラリアはもともと移民の国ですが、オーストラリアに移り住んできたヨーロッパ人がオーストラリアでもコーヒーを飲み始めたのがきっかけです。 それからしばらくして1980年代になると、イタリア系の移民が自国で流行っていたエスプレッソ系のカフェをオーストラリアでも展開していきました。オーストラリアのコーヒー文化はこのイタリア系の移民によって基盤が築き上げられました。 イタリア系の移民によって開かれたエスプレッソを中心としたドリンクを提供するカフェは、他のオーストラリア人からも受け入れられて、街のいたるところに広がっていきました。 まずはエスプレッソ、ラテ、カプチーノといった基本的な飲み物が広がり、次第にフラットホワイトやロングブラックなど独自の飲み物が考案されて、多くのオーストラリア人によって飲まれるようになりました。
オーストラリアでは1人が平均で100杯近くのコーヒーを1年で飲むほどコーヒーが浸透していますが、現在もそのほとんどのカフェがイタリア系のカフェであり、都市から地方まであらゆる場所にカフェが存在します。 アメリカもイタリアも海外のカフェでは、店の前にもテラス席も設置して、外で太陽を浴びながらコーヒーを楽しむこともできるようにするのが一般的ですが、オーストラリアでは長くテラス席が安全性の観点から禁止されていました。 しかし、2000年にシドニーオリンピックが開かれたタイミングで、テラス席の設置が認められました。それに合わせてカフェ人気のブームが到来し、一気にオーストラリア国内のカフェの数が増加しました。

スタバですら独自のコーヒー文化に勝てず撤退した

世界最大のコーヒーチェーン店は誰もが知っているであろうスターバックスコーヒーであり、日本でも多くの店舗を出店しています。そんなスターバックスコーヒーですらオーストラリアの独自のコーヒー文化には長い間苦戦をしていました。 オーストラリア独自の地元のカフェと競争をしてもスターバックスは勝つことができず、最終的には直営店運営事業をオーストラリアから撤退することになりました。オーストラリア人は自分たちのコーヒーに自信を持っています。 冒頭のオーストラリア人の友人の件もそうですが、自分たちのローカルのカフェは世界一だと自負している人も多いようで、チェーン店に付け入る隙を与えなかったのではないかと思います。

オーストラリアで飲まれているコーヒーの種類

オーストラリアはイタリア系の移民によってエスプレッソ系のドリンクが発達しましたが、それは決してただイタリアのコーヒー文化をマネするだけにとどまらず、独自のコーヒーを作って発達していきました。 その中でも人気なオーストラリアのコーヒーについて幾つかご紹介していこうと思います。今ではヨーロッパにも逆輸入されるほどオーストラリアのコーヒーは人気になりつつあります。

(1) ショートブラック(Short Black)

ショートブラックはいわゆるエスプレッソのことを指します。ショット数は1杯であったり2杯であったりしますが、どちらもショートブラックと言います。確かにエスプレッソはショート(=少量の)のブラック(=黒い液体)ですね。 日本ではあまりエスプレッソを飲む文化はありませんが、イタリアやオーストラリアではエスプレッソに砂糖などを入れて飲む文化が発達しています。

(2) ロングブラック(Long Blck)

ロングブラックはエスプレッソのお湯割りです。味は微妙に異なるのですが、オーストラリアで普通のブラックコーヒーが飲みたくなったらこのロングブラックが比較的に一番近いです。 エスプレッソのお湯割りと言うと、似たような飲み物にアメリカーノというものもあるのですが、アメリカーノは最初にエスプレッソを入れてからお湯を足しますが、ロングブラックは先にお湯を入れた後にエスプレッソを入れます。 どちらも結局は同じではないかとも思うのですが、後からエスプレッソを入れることでエスプレッソのクレマが保持されてよりフレーバーが強くなると言われています。
参照記事
エスプレッソvsルンゴvsアメリカーノvsロングブラックの違い

(3) フラットホワイト(Flat White)

フラットホワイトはカフェラテのようなコーヒーです。エスプレッソにスチームした温かいミルクを流し込んだコーヒーになります。ラテは上にフォームミルクという泡っぽいミルクを入れるのですが、フラットホワイトはフォームミルクがない点が異なりまし。 フラットホワイトはオーストラリアのコーヒー文化を代表する飲み物の1つと言っても過言ではないと思います。フォームミルクが乗っていいない分、味がよりマイルドになって、コーヒーの風味が引き立ちます。

(4) マキアート(Macchiato)

マキアートはエスプレッソに少しだけ温かいミルクの泡をのせたものです。なので味としてはショートブラックに近くとても苦い飲み物です。なんとなくマキアートと聞くと甘そうなオーラを感じますが、オーストラリアのマキアートは苦いです。

(5) モカチーノ(Mochaccino)

モカチーノはなんとなく名前から推測することもできるかと思いますが、エスプレッソにチョコレートソースと温かいミルクを加えたものです。モカはカフェモカと同じでこの場合にはチョコレートという意味で、それにカプチーノのようにスチームミルクを加えるのでモカチーノと呼ばれています。 エスプレッソにチョコレートを加えることでコーヒーの苦さを残しつつもチョコレートの甘さを感じることができ、少し大人のデザートのような風味が出来上がります。モカチーノという名前がなんか可愛いですねw

(6) アイスコーヒー(Iced Coffee)

アイスコーヒーと言われるとコーヒーの冷たいバージョンだと思いますが、オーストラリアではアイスコーヒーはコーヒーフロートを指します。具体的にはエスプレッソに冷たいミルクを入れて、アイスクリームとホイップクリームを加えたものです。 どちらかというと食後のデザートに近いものであり、もし冷たいコーヒーを飲みたい場合には「コールドブリューコーヒー」と言う必要があります。海外旅行でアイスコーヒーを頼んだら変なのが出てくることは割と良くある笑い話です(笑) このようにオーストラリアはイタリア系のコーヒー文化を継承しつつも、それを土台に独自のコーヒー文化を作り上げていきました。あのスタバですら太刀打ちできないくらい強固なオーストラリアのコーヒーを是非1杯楽しみたいものですね。
参照記事
アイスコーヒーを海外で注文すると変な反応される?!
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