コーヒー豆は生産国から輸入される時には”麻袋”と呼ばれる麻でできた袋で輸出されるのが一般的です。麻の袋は安価に手に入れることができて、かつ風通しも良くコーヒー豆を保存するのに適切であることから良く使われています。
しかし、コーヒー豆の中でもブルーマウンテンだけは麻の袋ではなくて樽に入れて出荷されています。コーヒー豆で最高級と呼ばれているブルーマウンテンならではですね。
しかし、なぜブルーマウンテンだけはコーヒー豆を樽に入れて輸送するのでしょうか。今回はそんなコーヒー豆と樽との関係について書いていこうと思います。
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コーヒー豆を樽に入れて輸送するブルーマウンテン
コーヒー豆を樽に入れて輸送する唯一のコーヒー豆は、ジャマイカで採れたブルーマウンテンのみだと言われています。それ以外のコーヒー豆は全て麻袋で輸送されるからです。
あまりコーヒーについて詳しくない人でも何となく”ブルーマウンテン”という名前は聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。ブルーマウンテンは中南米のジャマイカという国で採れるコーヒー豆です。
あまり大量に収穫できないことから希少性が高く、その割に人気なコーヒー豆なので値段もかなり高いです。しかし、世界中で飲まれているかと言われるとそうでもなく、主に日本で良く飲まれています。
これは日本の商社の人たちのマーケティング戦略がうまくいったからなどといろんな噂がありますが、どちらにしてもブルーマウンテンのバランスの取れたコーヒー豆は多くの人を魅了しています。
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なぜコーヒー豆の輸送で樽を使用するのか
そもそもブルーマウンテンが樽で輸送されるようになったきっかけは、特に格好つけるためというわけではなく、”たまたま”樽を使用しただけでした。
18世紀のジャマイカはイギリスの植民地だったのですが、イギリスから船積みされた小麦粉などの食料が入っていた樽を再利用して、そこにジャマイカ産のコーヒー豆やラム酒などを入れて輸送したのが始まりでした。
このようにコーヒー豆に樽が使用されることになったきっかけは単純なことだったのですが、実際に木製の樽はコーヒー豆を保管・輸送するのに適したものだったのです。
ブルーマウンテンが入っている樽はアメリカ産の温帯林の木材が使用されているのですが、まずニオイがありません。コーヒー豆はニオイをすぐに吸収するので、ニオイの強いものの近くに置いておくと、変な香りがついてしまいます。しかし、この樽はニオイがないのでその心配をする必要もありません。
また、木製の樽は木が内外の湿気を吸収・放出するので、輸送している際に温度変化があったとしてもできる限りそれを緩和させます。
現在では樽で保管すること自体、手間もコストもかかりますが、世界最高級と言われているブルーマウンテンを輸送するために、まさに最高の手段であると言えるのです。
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コーヒーの樽を開けるのは意外に大変
コーヒーで樽を使用しているのはブルーマウンテンだけなので、樽には「BLUE MOUNTAIN」という文字が印字されています。コーヒー豆の焙煎所などがブルーマウンテンを仕入れるとこの樽が届くのですが、この樽は開けるのがとても大変だそうです。
聞いた話では、特に開け口のようなものがあったりするわけではないので、無理やり樽を砕いて破る必要があり、苦労している人が多いとのことでした。しかし、コーヒー豆を使用した後の空の樽はインテリアなどの活用用途も広く、樽そのものの価値もあるようです。
ウィスキー樽でコーヒー豆を寝かせる
コーヒー豆と樽との関係でいうと、最近ではコーヒー豆をウィスキーが入っていた樽などでわざとしばらく寝かせて、ウィスキーの味をコーヒー豆に染み込ませるという方法が登場しています。
アメリカのスターバックスなどが試験的に行っているようですが、最近ではコーヒー豆もただそのまま提供するだけでは飽きられてしまうので、何かもっとコーヒーを楽しむアレンジの方法はないのかと思考錯誤しているようです。
そういう意味では、今までは「コーヒー豆の樽=ブルーマウンテン」という認識が成り立っていましたが、今後は「コーヒー豆の樽=ウィスキー風味のコーヒー豆」という認識に変化していくことがあるのかもしれません。
このように、コーヒー豆と樽には過去からいろんな関係がありました。今後も樽をうまく利用して美味しいコーヒーを作る方法は模索中であり、大きな期待が寄せられています。
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