香辛料をウィスキー樽で寝かしてから使うということは昔から砂糖、チョコレート、ソースなどいろんなもので試されてきました。ウィスキーの風味が香辛料などにつくことで、独特の風味を作り上げることができるからです。
そんな中でアメリカのスターバックスの研究開発部門がコーヒーの生豆をウィスキー樽で寝かしてから提供する方法を開発して、実際に提供を始めたようです。
コーヒー生豆をウィスキー樽で寝かせる
研究開発部門で働くDuane Thompsonさんはもともと趣味で何年間もウィスキー樽を使って風味に変化をもたらす方法を研究し続けていました。その中でコーヒーの生豆についてもウィスキー樽で寝かせることで美味しくなるのではないかと思いついたのです。
そのアイディアにスターバックスも共感し、スターバックス リザーブ(スタバの中でも高価で美味しいコーヒーを提供しているサービス)の中で少量を試しに研究させました。
その結果生まれたのが「Starbucks Reserve® Whiskey Barrel Aged Sulawesi」です。これはインドネシアのスラウェシ産のコーヒー豆が使われており、期間限定で販売され始めました。
“今回ウィスキー樽で作ったコーヒー豆が提供できたことはスターバックスにとってはとても良かったです。お客さんは今や普通のコーヒー豆を少しアレンジしたくらいのものでは飽き足らず、何か今までには存在しなかったような革新的なものを求めているからです。”
”(There’s no better stage than the Starbucks Roastery for a unique coffee like this because customers are seeking an immersive, sensorial experience that the craftsmanship of barrel-aged coffee delivers.)”
とThompsonさんはコメントをしています。
- 参照記事
- ファースト・セカンド・サードウェーブからフォースウェーブを予測!
最初のウィスキー樽で寝かしたの はわずか約360kg(800ポンド)のスラウェシ産のコーヒー生豆でした。そのコーヒー生豆はWoodinville Whiskey社製のウィスキー樽に入れられて、その中で何週間も寝かすことでウィスキーの風味を吸収させました。
すべてのコーヒー生豆が満遍なくウィスキーの風味を持つために、定期的に人間の手によって樽の中のコーヒー生豆はかき混ぜていたそうです。
ウィスキー樽で寝かした後のコーヒー生豆は、次の過程で焙煎されます。焙煎されるとアルコール分はすべて飛んでしまうのですが、コーヒー豆に染み付いたウィスキーの風味だけは残り続けます。
人も企業も変わり続けなければいけない
ジャックダニエルがウィスキーコーヒー豆を販売し始めたことも話題になりましたが、ウィスキーの風味とコーヒーは意外にうまくマッチするのかもしれません。現在はまだスターバックスもシアトルの店舗でしか取り扱っていませんが、お客さんの反応によっては更に拡大していく可能性もあります。
- 参照記事
- ジャック・ダニエル(Jack Daniel)がウィスキーコーヒー豆出したwww
最近になってコーヒー豆の焙煎具合や精製方法をただ単純に工夫するだけでなく、今回のようにウィスキーの風味を持たせるなど、かなり大胆にコーヒーの味を変えようという動きが海外では活発になっています。
この動きの背景ではアメリカでいかにミレミアム世代(1980年代半ば〜2003年の間に生まれた人)の 若者に対して、いかに“ウケる”商品を作るのかが重要になっていることがあげられます。
アメリカのミレミアム世代は変化を積極的に受け入れて、新しいものであっても実力があればすぐに取り変えてしまうと言われています。コーヒー業界で世界一になったスターバックスであっても、いつまでも今まで通りのコーヒーを提供していたらミレミアム世代が離れていってしまいます。
かつてはスタバで写真を撮ってそれをインスタグラムであげたりすることが流行っていましたが、数年後の近い未来には「スタバでフラペチーノの写真をあげるなんて古臭くてダサすぎるww」と言われる日が来るかもしれません。
とThompsonさんはコメントをしています。
- 参照記事
- フラペチーノ誕生秘話!スタバの人気商品はどう生まれたのか
そうならないためにも、人々をあっと言わせるような美味しくて面白いコーヒーを提供することが必要であり、常に革新を続けなければいけないとスターバックスは考えているのではないかと思います。
今回のウィスキー樽でコーヒー生豆を寝かせるというのも新しい試みの1つなのではないかと思います。今後も“イケているスタバ”からは目が離せません。さしあたりはアボガドのトーストが売られることでも待ちましょう(笑)
この記事は
Starbucks First Barrel-Aged Coffee Debuts at Seattle Roasteryと
Starbucks Is Where Hipster Food Trends Go to Dieを参考にして作られています。