カップ・オブ・エクセレンスとはコーヒー業界のアカデミー賞

カップ・オブ・エクセレンスとはコーヒー業界のアカデミー賞

映画の世界ではその年のNo1を決めるためにアカデミー賞があり、大きな注目を集めます。そして受賞した作品が映画館で上映される際には長蛇の列ができるくらい一気に人気になります。 実はコーヒー業界にアカデミー賞のようなものがあります。それは「カップ・オブ・エクセレンス」と呼ばれている大会であり、この大会で受賞したコーヒー豆はアカデミー賞なみの称賛と経済的な恩恵を受けることができます。今回はそんなカップ・オブ・エクセレンスについて書いていこうと思います。

カップ・オブ・エクセレンスとは何か

カップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence=COE)とは直訳すると「最高のコーヒー」ですが、その名前の通り、その年に収穫されたコーヒー豆の中から最高のものを選ぶコンテストです。 美味しいコーヒー豆を決めるコンテストはいくつもありますが、その中でもこのカップ・オブ・エクセレンスは最も有名で意味のあるものとされています。この大会はアライアンス・フォー・コーヒー・エクセレンス(ACE)というNPO法人によって運営されています。
実際にカップ・オブ・エクセレンスに選ばれるコーヒー豆は全生産の中でも数%だけであり、この賞を取ることはそのコーヒー豆が世界の中でもトップ数%に入るくらいの品質の高さであることを証明します。 カップ・オブ・エクセレンスを開催しているコーヒー豆の生産国は多く、年度による変更はあるものの、ブラジル、ニカラグア、ホンジュラス、グアテマラといった中南米から、ルワンダなどアフリカまで多くの国で生産されています。

カップ・オブ・エクセレンスの歴史

最も品質の高いコーヒー豆を決めるカップ・オブ・エクセレンスですが、最初に大会を開いたのはコーヒー生産大国のブラジルでした。かつては現在のようにスペシャリティコーヒーが騒がれることもなく、大量消費・大量生産の流れで、コーヒーの品質やコーヒーの生産地によるユニークさが現在ほど注目されることはありませんでした。 大量消費・大量生産が求められるとなると、大規模なコーヒー農園のみが有利になり、小規模なコーヒー農園は窮地に立たされました。しかし、そんな中でコーヒーの生産地の気候条件や精製方法に応じて質の高いユニークなコーヒー豆をアピールする運動が起きました。 それら一連の運動がカップ・オブ・エクセレンスが発足する背景として存在しました。最初の大会はコーヒー豆の生産における品質をあげようとしているブラジルのコーヒー生産者が企画して開催されました。 ブラジルでのカップ・オブ・エクセレンスの成功を受けて、この大会は次第に他のコーヒー豆の生産国にも広がっていき、現在のようにコーヒーにおける最も有名な大会となりました。
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カップ・オブ・エクセレンスの選考方法

カップ・オブ・エクセレンスの選考で勝ち抜くことはとても難しいです。まず第一選考では、そもそも出品されたコーヒー豆がスペシャリティコーヒーの最低基準を満たしているか確認されます。要は足切りのようなものです。 第二選考では、国内の審査員によってテイスティングして品質の高さを試されます。そして最終選考では、3日間かけて大会が開かれ国際審査員がカップ・オブ・エクセレンスに該当するか見極めます。 この最終的な決定権を持つ国際審査員ですが、アメリカ、ヨーロッパ、日本などのコーヒー消費国側とブラジル、グアテマラといったコーヒー生産国側の両方からコーヒーのスペシャリストが24人選出されます。 この最終選考のカッピングで平均点が85点以上になった場合にはカップ・オブ・エクセレンス入賞となります。さらにその中でも平均点が90点を越えるとプレジデンシャル・アワードと呼ばれるさらに大きな賞を受賞できます。 選考ではコーヒー豆を多角的に評価し、爽やかさ、甘さ、酸味の繊細さ、口に含んだ質感・量感、風味、後味の印象度、味のバランスなどが評価の対象になります。

カップ・オブ・エクセレンスの意義

このようにカップ・オブ・エクセレンスを受賞することは簡単ではなく、最高レベルのコーヒーを生産しなければなりません。そんな難易度の高いカップ・オブ・エクセレンスですが、受賞することは計り知れない大きなメリットがあります。 まず大前提として、自分の栽培されたコーヒー豆が世界最高レベルと称賛されることは、生産者としては最終目標に近いものであり、業界のトップになることを意味してとても名誉あることです。 また、ただ名誉であるだけでなく、経済的にもカップ・オブ・エクセレンスに選ばれることで得られる恩恵は大きいです。世界中のコーヒー愛好家がカップ・オブ・エクセレンスで受賞されるコーヒーを飲みたいと考えており、受賞したコーヒー生産者の名前が買い手側に広がります。
最高品質のコーヒーを見つけることは買い手にとっても難しく、カップ・オブ・エクセレンスで第三者から受賞されたコーヒー豆は全世界にその名が伝わり、受賞した生産者のコーヒー豆のファンが一瞬にして世界中にできます。 更に、カップ・オブ・エクセレンスに選ばれたコーヒー豆は買い手に対して全世界を対象にインターネットオークションを通じて販売することができます。オークションはかなりの高価格になることが多く、落札者は出品されたコーヒー豆を全て買い取ることになります。 このオークションの値段は一般的なコーヒー豆の相場やスペシャリティコーヒーの相場に比べても、比べものにならないくらい高くなる傾向にあり、その落札金額のほとんどはコーヒー豆の生産者に直接渡るので、カップ・オブ・エクセレンスはコーヒー豆の生産者にとって、まさに一攫千金のチャンスとも言えます。
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カップ・オブ・エクセレンスで受賞したコーヒー豆を買う方法

カップ・オブ・エクセレンスで受賞したコーヒー豆には独自のロゴの登録商標が付けて販売されます。ですので、受賞したコーヒー豆を買いたい場合にはそのロゴを目印にしてコーヒー豆を購入すると良いでしょう。
またコーヒー豆を販売する側も、カップ・オブ・エクセレンスを受賞したコーヒー豆と消費者に伝えれば消費者の注目を集めることができるので、だいたいは大きく受賞したことを宣伝しているのですぐにわかります。 コーヒー業界のアカデミー賞ことカップ・オブ・エクセレンスを受賞したコーヒー豆を一度は楽しんでみたいものですね。
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