コーヒー豆は実はもともとは植物の実からなるものであり、その植物のことをカタカナで「コーヒーノキ」と言います。コーヒーはコーヒー豆の状態のことはなんとなく分かっていても、コーヒーノキの状態のことはあまり知らない人が多いかと思います。
今回はそんなコーヒーノキについて、そもそもコーヒーノキとは何か、どんな特徴があるのか、どんな種類があるのか、などについて書いて行こうと思います。
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コーヒーノキとは何か
そもそもコーヒーノキは何種類もあることをご存知ですか?よく聞くコーヒーの2大品種である「アラビカ種」と「ロブスタ種」はコーヒーノキの種類に依っているのです。アラビカ種が取れるコーヒーノキを「アラビカコーヒーノキ」、ロブスタ種が取れるコーヒーノキを「ロブスタコーヒーノキ」と言います。
栽培範囲は、いわゆるコーヒーベルトと呼ばれる「南回帰線」「北回帰線」に挟まれた範囲。特に降水量が年間で安定しており、高度も高い地域で栽培されているのが特徴です。
全世界で1000万ヘクタールですから、幅25m、長さ50mのプール8000万個ぶんです。めちゃくちゃ広いことがわかると思います。
ちなみにコーヒーノキの本数は全世界で150億本。人間よりも多い本数があるのですね!コーヒーの生産自体は現在70カ国ほどで行われております。
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コーヒーノキの特徴
コーヒーノキにはコーヒーチェリーという果実がなります。その果実にはカフェインを多く含んでおり、昔は薬として使われていました。
コーヒーノキが発芽するまで3〜5年ほどかかり、そのあとは50〜60年にかけてコーヒーチェリーをつけます。果実がなって熟するまで9ヶ月ほどかかります。
樹高は自然のままで行けば9〜12mに達するのですが、栽培には向かないために実の採取に適した3~3.5m程度で管理されています。コーヒー豆の本格的な栽培自体が始まったのは17世紀以降です。プランテーションの一部としてアフリカ大陸を中心に始まりました。
コーヒーノキとさび病
コーヒーノキには大敵の病気があります。かつてのスリランカやインドネシアで流行したさび病です。
さび病にはサビキン目という菌が関係しており、植物に寄生する絶対寄生菌で、赤・黒などに着色したさびのように見える無性胞子(さび胞子)を作ることから、これらによる多くの病害はさび病と呼ばれ、農業・林業において重大な病害をもたらします。
このさび病は肥料の与え過ぎ、または肥料切れで生じることが多いので、生産者の管理がとても重要になってきます。
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コーヒーノキにはたくさんの種類がある
そんなコーヒーノキなんですが、種類は相当あります。最初に登場したアラビカ種・ロブスタ種だけでなく、リベリカ種、さらにアラビカ種から派生したティピカ種、ブルボン種など、コーヒーノキ属には4亜属66種あることがわかっています。そんなコーヒーノキにも種類ごとに特徴があるのです。
アラビカ種
高品質で収量も比較的高く、世界のコーヒー生産において7~8割を占め主流となっています。主な栽培地は中南米とアフリカ・インドネシアの一部で、高級品として取引される産地が多いです。ただし高温多湿の環境には適応せず、霜害に弱く、乾燥にも弱いのが弱点。レギュラーコーヒー用として栽培されており、日本でも多く流通しております。
ロブスタ種
病虫害に強く、高温多湿の気候にも適応するうえ成長が速く高収量で、全生産量の2~3割を占める。主な栽培地は東南アジアとアフリカの一部で、特に生産量2位のベトナムで栽培が伸びています。主にインスタントコーヒー用、あるいは廉価なレギュラーコーヒーの増量用として生産されています。
ロブスタ種のコーヒーはカフェインやクロロゲン酸類の含量が高く、焦げた麦のような香味で苦みと渋みが強く、酸味がないのが特徴。 旧植民地と宗主国の関係からヨーロッパ(特にフランス)での消費が多いです。フレンチロースト、イタリアンローストなど深煎りしてミルクを合わせる飲み方が普及した背景と見られます。
コーヒー豆の種類はコーヒーノキの種類に由来していたのですね。全世界に150億本もあるコーヒーノキがなければ、私たちの日常にコーヒーはあり得ないのです。現在はコーヒーベルト以外の地域での生産を可能にしようと取り組んでいる国も増えておりますので、これからのコーヒーノキの広がりに注目です!!!
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