そもそも原価率とは何か?
まず原価についてなのですが、原価とは商品を仕入れる際にかかった費用になります。コーヒーの場合にはコーヒー豆を仕入れるための費用であり、人件費や家賃、水道光熱費などは原価には入りません。あくまで原価とは商品を仕入れるためにかかった費用だけです。 原価率とはその原価を売上で割ったものです。例えば500円でコーヒーを販売したとして、そのために使ったコーヒー豆の仕入れ価格が100円だったとしたら、そのコーヒーの原価率は100円÷500円=20%になります。 当たり前の話ですが、安くコーヒー豆の仕入れて、高くコーヒーを売ればカフェは儲かります。それはこの原価率を低く抑えることができるからなのです。コーヒーの原価率について
実際にカフェや喫茶店で提供されるコーヒーですが、その原価率は10%程度におさまることが多いです。当然どこの国のコーヒー豆を仕入れるかで仕入れる値段は変わりますし、カフェの値段設定をどう設定するかでも変わってくるので一概には言えませんが、一般的にコーヒーの原価率は10%くらいであり、高くても20%くらいのケースが多いです。 例えばあるカフェがコーヒー豆を業者から2,600円/kgで仕入れるとします。1kgのコーヒー豆があれば80杯くらいはブレンドコーヒーが淹れられます。この場合にはブレンドコーヒー1杯あたりの原価は約33円になります。 ブレンドコーヒー1杯をカフェで提供すれば、だいたい300円くらいで販売することができるので、このカフェの原価率は33÷300=11%になります。アイスコーヒーの原価率はホットコーヒーよりも少し低くなる傾向にあり、場合によっては原価率10%を切ることもあります。エスプレッソの場合には高い圧力をかけて抽出するために使用するコーヒー豆の量が少なくてすみ、原価率はさらに低くなります。 カフェラテやカプチーノなどの場合にはコーヒー豆以外にも牛乳を使用するので原価は高くなります。しかし、一般的にカフェラテなどはブレンドコーヒーよりも高い値段で販売されることが多いので、やはり原価率は10%〜20%くらいになります。 ちなみに余談ですが、カフェには子供用のメニューとしてオレンジジュースが販売されていることがあります。カフェでオレンジジュースを頼むとやたらと値段が高くて損した気分になることがありますが、オレンジジュースの原価は25円くらいであり、それを300円くらいで販売するので原価率は8%くらいです。やはりカフェでオレンジジュースを飲むと損した気分になるのは正しかったのですね(笑)

コーヒー豆で販売する際の原価率
カフェでコーヒーを飲むケースの原価率はざっくり10%くらいですが、カフェで販売しているコーヒー豆の原価率はもっと高いです。ケースバイケースではあるのですが原価率25%くらいになることが多いようです。 例えばコーヒー豆を自家焙煎して販売しているお店があったとして、コーヒー生豆を仕入れる値段は1,000円/kgくらいです。この中には形が欠けていたり虫食いにあっていたりしている欠点豆が20%くらい入っているのでそれをハンドピックで取り除きます。さらにコーヒー生豆を焙煎すると重さが20%くらい軽くなってしまいます。そのために1,000円/kgでコーヒー生豆を仕入れていても、実際に焙煎したコーヒー豆は1,500円/kgくらいになります。コーヒー豆を販売する際には200gあたり1,500円くらいで売られることが多いので、結果的にコーヒー豆で販売する場合の原価率は25%くらいになります。
焙煎具合やコーヒー豆の産地によって原価率は変わる
一般的にカフェで飲むコーヒーの原価率は10%〜20%で、コーヒー豆で購入する際の原価率は25%くらいです。しかし、これはコーヒー豆の焙煎具合をどれくらいにするか、どこの国で採れたコーヒー豆を使用するかでも変わってきます。 まず焙煎についてですが、焙煎具合は深煎りのコーヒー豆の方が浅煎りのコーヒー豆よりも原価が高くなります。その理由は簡単で深煎りにする方がコーヒー豆の重さが軽くなるからです。深く焙煎することによってコーヒー豆が軽くなれば原価は上がります。 次にコーヒー豆の産地ですが、どこの国のコーヒー豆を使用するかですが、コーヒー豆は産地や農園によって仕入れる値段が異なります。高級コーヒー豆であるブルーマウンテンならば仕入れる値段は高くなって原価は上がりますし、ブラジル産サントスであれば比較的に安く仕入れることができて原価は下がります。コンビニコーヒーの原価率は高い
最近ではコンビニコーヒーが空前の大ヒットを記録しています。100円で美味しいコーヒーが手軽に飲めるので僕も仕事に行く前に買って行くことがあります。少し前にネット上にセブンイレブンのコーヒーの原価率が書かれた紙がアップされて、その原価率のあまりの高さにネット上で話題になりました。
コンビニコーヒーは回転率が高い
本来ならば400円くらいで販売されるはずのコーヒーがコンビニでは100円で提供されている理由はいくつかあります。1つ目は回転率の高さです。カフェでコーヒーを飲む場合には店内で休憩したり勉強したりする人がいて、店内が満席になると次のお客さんが入ることができなくなります。 一方でコンビニコーヒーは基本的にコンビニ内での飲むことはなく、家や職場に持って帰ってから飲むテイクアウトで成り立っています。そのために回転率をあげることができて、より多くのお客さんに販売することができます。1/4の値段で売っても4倍のお客さんに販売すれば結局は同じという理論です。コンビニコーヒーは抱き合わせで他の商品も販売できる
コンビニコーヒーが安く販売できる2つ目の理由は、コーヒーを合わせて他の商品も販売することができるからです。コンビニコーヒーを買うついでに合わせてチョコレートも買ってみたり、ついでにランチを買ったりすることで抱き合わせで他の商品を販売することができます。コンビにコーヒーは経費が少ない
コンビニコーヒーは確かに原価は高いのですが、その代わりにその他の経費が安いです。コンビニコーヒーはお客さんにセルフでコーヒーを作ってもらうので、店員はレジをしてたまにコーヒー豆やお湯の補充をするだけですみます。 マグカップを手洗いする必要もなければ、店内のテーブルを拭いて回る必要もなく、コーヒー豆を挽いてドリップする必要もありません。そのために経費を抑えることができて、原価率が高くても成り立つことができます。原価率が低くてもカフェが潰れる理由
カフェで飲むコーヒーの原価率が10%と聞くと、あまりにもぼったくりすぎだからもっとコーヒーの値段を下げるべきだと思う人もいるかと思います。実際に一般的な飲食店の原価率は30%くらいと言われており、それに比べるとコーヒーの原価率はかなり低いです。 しかし、一方でカフェの経営はとても難しくて個人経営のお店だと潰れているところも多いです。原価率がここまで低いのになぜカフェが潰れるのか疑問を感じる人もいるかと思いますが、理由は単純で原価以外にも経営をしていく上で重要なことがたくさんあるからです。
収益 = 売上 ー 原価 ー 経費
カフェをうまく経営していくためには、収益をあげる必要があります。「収益=売上ー原価ー経費」であるので、収益をあげるためには、①売上を上げるor②原価を下げるor③経費を下げる必要があります。
カフェの場合には②原価を下げるにつていはクリアできるのですが、①売上を上げると③経費を下げるをクリアするのが難しいです。
まず①売上を上げるについてですが、カフェは商品単価がとても低いです。居酒屋であれば4,000円/人くらいの単価でいけますが、カフェの場合には500円/人くらいのケースが多く、典型的な”薄利”のビジネスになります。100人にコーヒーを売っても売上は5万円にしかなりません。 また、回転率についてもカフェの場合にはコーヒー1杯で長居する人が多く、多くの人に一気に売りにくいです。そのために”多売”することが難しいと言われています。 次に③経費を下げるについてですが、カフェにはコーヒー豆を仕入れる以外にも様々な費用がかかります。主だったものは”人件費”と”賃料”になります。一概には言えないのですが人件費と賃料は売上の30%くらいになることが多いです。 他にも水道光熱費やコーヒー器具修理代などで10%くらいかかります。そのために「人件費30%+賃料30%+水道光熱費など10%=経費70%」くらいになります。
収益 = 売上 ー 原価 ー 経費
もう一度この図に戻って考えてみると、原価10%で経費70%なので、売上の20%くらいが収益として手元に残る計算になります。つまり1日に1万円の収益を上げるためには5万円の売上を上げる必要があり、5万円の売上を上げるためには500円のコーヒーを100人に売らなければならないのです。
このように、コーヒーを100杯売っても収益が1万円にしかならないのでいくら原価率が10%と低くても個人経営のカフェが潰れていくのには納得がいきます。
実際には自分の持ち家でカフェを開くことで賃料を支払わなくて済ましたり、田舎で開業することで賃料を減らしたり、ランチメニューとセット販売することで商品単価をあげるなどの対策を打つことで効率的に収益をあげていくことが重要になってきます。
