ドミニカ共和国と言われても何のイメージもできない人が多いのではないでしょうか。ドミニカ共和国はカリブ海に浮かぶ島々の中にある国なのですが、実は日本人からも人気の高いブルーマウンテンと味が似ています。しかも値段が半額くらいなのでコーヒー豆の穴場として個人的にはすごい好きなコーヒー豆です(笑)
目次
1). そもそもドミニカ共和国ってどんなところ?
2). ドミニカ共和国産コーヒー豆の栽培方法
3). ドミニカ共和国産コーヒー豆の味
4). ドミニカ共和国産コーヒー豆の等級付けと種類
そもそもドミニカ共和国ってどんなところ?
ドミニカ共和国はカリブ海に浮かず島々の一部です。すごい紛らわしいのですが、カリブ海にはドミニカ国とドミニカ共和国という名前の似た別の国が2つあります。コーヒー豆の生産で有名なのはドミニカ共和国です。
カリブ海というと暖かそうなイメージがありますが、ドミニカ共和国もそんなカリブ海のイメージ通りの国です。カリブ海に浮かぶイスパニョーラ島の2/3をドミニカ共和国は占めており、面積は4.9万㎢であり、北海道より一回り小さくしたサイズです。ちなみにイスパニョーラ島の残りの部分にはハイチ共和国という国があります。
ドミニカ共和国のほとんどは山岳地帯であり、標高2,000m以上の山々が連なっています。コーヒーはその山々の標高700m〜1,500mあたりで生産されています。ドミニカ共和国は農業国であり、人口の70%は農業関連に携わっています。その中でもコーヒーは砂糖に次いで2番目に重要な農産物であり、ドミニカ共和国を支えています。
1492年にコロンブスが最初の航海で発見し、しばらくスペインによって植民地支配を受けていました。1944年に独立するのですが、植民地支配を受けていた影響で、今でもドミニカ共和国ではスペイン語が使われています。
ドミニカ共和国産コーヒー豆の栽培方法
(1)ドミニカ共和国に残るコーヒーにまつわる伝説
ドミニカ共和国にコーヒー豆が伝わったのは1700年代であり、近隣国のハイチから伝わったと言われています。その伝わり方なのですが、現地にはこんな伝説があります。
フランス人のガブリエル・ド・クリューがコーヒー豆の木を普及させるために大西洋を航海していた際に、全く風が吹かずに船が全然進まなかったそうです。それに合わせて食料も無くなってきて、コーヒーの木も枯れ始めました。
ガブリエルは自分もかなりノドが乾いていて餓死しそうだったのですが、最後の一杯の水をコーヒー豆の木にあげたそうです。その直後に嘘のように風が吹き始めて、ドミニカ共和国に無事に到着して、コーヒー豆の木が伝わったとのことです。
嘘っぽさ全開ですが、ガブリエルの熱意がドミニカ共和国にコーヒー豆の木をもたらして、そのおかげで世界中の人が今ではドミニカ共和国産のコーヒーを飲むことができるようになったということにしておきましょう(笑)
(2)ドミニカ共和国の地理的条件が美味しいコーヒーを生み出す
ドミニカ共和国産のコーヒーはカリブ海のイスパニョーラ島の標高700m〜1,500mあたりの山岳地帯で栽培されています。そのために夜間の温度が低くなり、昼間の暑さとの対比で身の引き締まった美味しいコーヒー豆が栽培されます。
土壌については石灰岩質の基盤を腐葉土が覆っているような形になっており、それを栄養分としてコーヒー豆の木が育ちます。カリブ海から吹く湿度の高い風が山の標高の高い部分で冷やされて雲となります。その雲が日照量をうまくコントロールして強すぎる太陽光を抑えています。
(3)ドミニカ共和国ではコーヒーチェリーは手摘みで丁寧に収穫される
ドミニカ共和国では基本的にコヒーチェリーを収穫する際には、完全に成熟したコーヒー豆のみを1つ1つ選別して、丁寧に手摘みされていきます。手間はかかりますが、これにより品質の高いコーヒー豆を手に入れることができます。
収穫されたコーヒー豆は脱肉された後に、タンクに入れられて水洗処理した上で天日乾燥されます。水洗式でコーヒー豆の精選しているために、欠点豆の混入率も低く、美味しいドミニカ共和国産コーヒー豆の品質向上につながります。
- 参照記事
- ジャコウネコ(コピルアク)という世界一価格が高いコーヒー豆
(4)ドミニカ共和国産のコーヒー豆の日本での流通は少ない
ドミニカ共和国の年間のコーヒー豆生産量は60万~70万袋となっています。しかしそのほとんどはドミニカ共和国産のコーヒー豆のニーズが高いヨーロッパに向けて輸出されています。
またコーヒー豆の生産量が下がってきている中で、国内消費が増加しているので、輸出量自体も減少傾向にあり、日本への輸出は年間2,000~3,000袋程度であり、日本でドミニカ共和国産のコーヒー豆は手に入れるのが簡単ではありません。
ドミニカ共和国産コーヒー豆の味
ドミニカ共和国産コーヒー豆の味は、ひとことで言うと、すっきりしていて飲みやすいまろやかなコーヒーです。酸味も苦味も強くなくてかすかに感じられます。とにかっく優しくて軽めなコーヒーという感じです。
ナッツのような香りがして、かすかにフルーティな甘みもあります。日本でもジャマイカ産のブルーマウンテンは人気が高いですが、どことなくブルーマウンテンに似ているような印象があります。
- 参照記事
- ブルーマウンテンなどジャマイカ産コーヒー豆の特徴
ドミニカ共和国産コーヒー豆の等級付けと種類
(1)コーヒー豆粒の大きさが大きいと等級が上がる
ドミニカ共和国産のコーヒー豆の中でもランクが付けられていくのですが、そのランクはコーヒー豆粒の大きさに応じて決まります。一般的にコーヒー豆のランクはコーヒー豆粒の大きさや栽培される標高の高さで決まりますが、ドミニカ共和国産のコーヒー豆の場合には前者が採用されていることになります。
「AA」や「AB」といったように格付けされていき、AAが最も良くて、ABはその次に良いという風に並んでいきます。コーヒー豆粒が大きい方がより美味しいコーヒーとして評価されて値段も上がります。
(2)ドミニカ共和国コーヒー豆の種類
ドミニカ共和国でコーヒー豆が栽培されているエリアは大きく7つあり、ノロエステ、シバオ、シオラオクシデンタル、シエラセントラル、シエラスール、ネイバ、バラオナで栽培されています。
ドミニカ共和国の中であっても栽培されているコーヒー豆のエリアがどこかによって微妙に味や品質が異なっており、「ドミニカ・シエラオクシデンタル」や「ドミニカ・ノロエステ」といったように栽培されている産地名をドミニカの後につけてコーヒー豆が取引されています。
- 参照記事
- アンティグアなどグアテマラ産コーヒー豆の特徴について