コーヒー豆には一風変わった方法で作られるものがいくつかあります。おそらく最も有名なのがジャコウネコという猫から作られるジャコウネコのコーヒー豆(コピルアク)です。
これはジャコウネコにコーヒー豆を食べさせて、ふんとして出てきたコーヒー豆を使ったコーヒーなのですが、猫が体内で良い感じにコーヒー豆を発酵させるということから味が美味しく、超高級なコーヒー豆として高値で取引されています。
そんなコピルアクを超えるかもしれないと話題なのがタイで作られている象のふんのコーヒーです。猫ではなくて象がコーヒー豆を食べて象の体内で発酵されたコーヒー豆を使用するのですが、その美味しいさから超レアなコーヒー豆となっています。
今回はそんな象のふんコーヒーについて、象のふんコーヒーとは何なのか、どのようにして象のふんコーヒーは作られるのか、どんな味がするのか、などについて書いていこうと思います。
- 参照記事
- ジャコウネコ(コピルアク)という世界一価格が高いコーヒー豆
象のふんコーヒーとは何か
象のふんコーヒーとはひとことで言うと、コーヒー豆を象に食べさせて象の体内で発酵させ、象のふんとして出てきたコーヒー豆を使用したものです。
ブラックアイボリーコーヒーと呼ばれることもあるのですが、タイ北部の象保護センターでその”栽培”は行われており、30頭以上の象が毎日のようにコーヒー豆を食べて、それをふんとして排出して、それを加工してコーヒー豆が作られています。
かなり変わったコーヒー豆の加工方法ではありますが、その味の美味しさから象のふんコーヒーのファンは世界中におり、かなり高い値段で取引がされています。
象のふんコーヒーが出来る出来る手順
象のふんコーヒーが作られる手順は割と壮大です。まずはじめにコーヒー豆のもとになるコーヒーチェリーが収穫されます。高級なアラビカ種のコーヒーチェリーのみが使用され、これを象のエサとして、米やバナナなどと一緒に象に与えます。
すると象がそのコーヒー豆を15時間~70時間かけて体内で消化していき、最終的にはふんとして体外へと排出されます。象がふんをしたらそれを手作業でふんとコーヒー豆に分けて選別していきます。
そして選別したコーヒー豆を何度も何度も水洗いして綺麗にしてから4日間ほど乾燥させます。コーヒー豆が乾燥したらあとは焙煎してコーヒー豆を挽けば出来上がりです。
- 参照記事
- コーヒー豆の産地おすすめランキング【保存版】
象のふんコーヒーが美味しい理由と味
象のふんコーヒーがなぜ美味しいくなるのかですが、実は美味しくなるのには科学的な根拠があったのです。まず象がコーヒー豆を食べると体内で消化されていくのですが、その段階で消化酵素がコーヒーの苦味成分であるたんぱく質の分解を行います。
そのためにコーヒー豆の持つ変な苦味が取り除かれて、なめらかで飲みやすいコーヒーが出来上がるのです。
また、象の体内でコーヒー豆が発酵されていく過程でバナナなどといった他の果物の香りがコーヒー豆に移ります。そのためにフルーティーな風味が加わり、それがコーヒー豆に良い影響を与えるのです。
象のふんコーヒーは高級品
象のふんコーヒーはその希少性からかなり高価な値段で取引されています。コーヒー豆の状態だと11万円/kgくらいで取引されており、ホテルでコーヒーに淹れてもらうと1杯で数千円かかります。
象は飼育するのが大変で1頭を飼育するだけでも毎月10万円の費用がかかる上に、33kgのコーヒー豆を食べさせても1kg分の象のふんコーヒー豆は作られないためです。
象のふんコーヒーを製造している会社も基本的にはタイの会社のみであり、他に競合がいなくて価格が下がらないなどの理由も考えられますが、とにかく象のふんコーヒーはとても高価で日本ではなかなか見かけることすらありません。
コーヒー以外の象のふん活用方法
象のふんについて今回はコーヒー豆としての活用方法を見てきましたが、象のふんにはコーヒー豆以外にもさまざまな活用方法があります。象は1日に200kg〜250kgの食べ物を食べて、そのうち50kgはふんとして排出されるので、それを有効活用することはとても意義のあることなのです。
最も代表的な象のふん活用方法は堆肥としての活用です。これは日本でも行われているそうですが、象のふんを堆肥として使用することで農作物を栽培できます。
他にも象のふんから紙を作る再活用方法もあります。これはふんの繊維から紙を作っていくのですが、象1頭から1日に115枚もの紙を作ることができると言われています。
このように象のふんコーヒーは、かなり特殊なコーヒー豆の作り方ではありますが、象の消化メカニズムをうまく利用して美味しいコーヒーを作っています。興味がある方はかなり高いですが、ぜひ一度試して見てください。