エルサルバドル産コーヒー豆の特徴-その味や等級について

エルサルバドル産コーヒー豆の特徴-その味や等級について

中央アメリカと南アメリカはコーヒー豆の生産国として有名であり、コーヒー豆の生産量が世界一のブラジルをはじめ、コロンビア、グアテマラ、メキシコなど様々な国がコーヒーの生産国として知られています。 そんな中で中央アメリカにあるエルサルバドルという国でもコーヒー豆が生産されています。普段の生活では日本人から見ると馴染みがあまりありませんが、エルサルバドルは美味しいコーヒーの栽培に適した条件をいくつも持っています。 今回はそんなエルサルバドルのコーヒー豆の栽培方法、生産方法、味などについて、詳しく見ていこうと思います。

目次

1). エルサルバドルとはどんな国か 2). エルサルバドル産コーヒー豆の栽培方法 3). 日々改良されていくエルサルバドルのコーヒー豆生産 4). エルサルバドル産コーヒー豆の味

エルサルバドルとはどんな国か

そもそもエルサルバドルとはどんな国なのか知らない人も多いかと思いますが、エルサルバドルはメキシコなどがある中央アメリカに位置しており、コーヒー大国のグアテマラとホンジュラスに挟まれています。
面積は約2万㎢と日本でいう四国くらいの大きさしかなく、中央アメリアで最も小さい国と言われています。しかし面積は約600万人おり、かなり人口密度の高い国となっています。 エルサルバドルではコーヒー豆の輸出が国の経済を支えており、国花も「コーヒーの花」になっているくらいです。14の県から成り立っており、この小さい面積に火山が20以上存在するという火山地帯になっています。
参照記事
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エルサルバドル産コーヒーの栽培方法

そんなコーヒー豆の生産国として有名なグアテマラとホンジュラスに囲まれているエルサエルバドルですが、やはりエルサルバドル自身もそれらの国と似たような環境で美味しいコーヒー豆の栽培が可能となっています。 エルサルバドルは一部で平野もありますが、基本的には国土の大部分が標高の高い高地になっています。赤道直下で普通であればコーヒー豆の栽培をするには暑すぎるのですが、この標高の高さのおかげで、快適な温度でコーヒー豆の栽培をすることが可能になります。 また小さい国内に20以上の火山があるので、火山灰性もミネラル分を多く含んだ肥沃な土壌となっております。また日照量をコントロールするためにコーヒー豆の木の横にはシェイドツリーが栽培されることが多く、このシェイドツリーが最終的には腐葉土となり、天然の良い土壌を作ります。 5月〜10月までは雨季、11月〜4月までは乾季と、雨季と乾季がはっきりと分かれていることも、雨季と乾季の両方が必要なコーヒー豆の栽培にとってはまさに最適であると言えます。
参照記事
コーヒー豆の産地と栽培条件の特徴について【保存版】

日々改良されていくエルサルバドルのコーヒー豆生産

エルサルバドルのコーヒーの栽培が本格的に始まったのは1858年であり、政府の主導で半強制的にコーヒー豆の栽培をさせたのが始まりでした。政府は共有地の2/3の面積でコーヒー豆の栽培を無理やりさせ、土地も全て政府の所有物としました。 エルサルバドルではかなり無理やりコーヒー豆の栽培が始まりましたが、もともとがコーヒー豆の栽培に適していたので、結果的には国の経済を支える産業にまで成長しました。 現在ではエルサルバドルの農業生産の30%がコーヒー豆であり、輸出総額の50%がコーヒー豆であり、国内人口の25%がコーヒー豆の栽培に携わっています。このようにもはやコーヒーなしでは成り立たない国にすらなっているのです。
そのために政府としても更なるコーヒー産業の強化を図っていく必要があり、エルサルバドル国立コーヒー研究所を設立しました。そこではコーヒー豆の品質改良などが行われており、パカラマ種などこの研究所から人工交配されたものもあります。 コーヒーチェリーの精製加工のプロセスにおいても改良は進んでいます。エルサルバドルではほとんどのコーヒーチェリーが水洗式(ウォッシュト)によって精製されています。 精製加工とはコーヒーチェリーから皮や果肉を除去するための作業ですが、ほとんどの国では水洗式(ウォッシュト)か非水洗式(ナチュラル)が採用されています。しかし、最近ではより良い精製方法をエルサルバドルでは模索しており、「ハニープロセス」が注目されています。 これは、コーヒーチェリーのミューシレージと呼ばれるネバネバした部分を残して乾燥させるものであり、手間はかかるものの最終的に出来上がるコーヒー豆の品質の高さから最近になって普及しつつあります。 このようにエルサルバドルでは、品種改良から精製加工方法に至るまで、政府が主導になって、現在でもより美味しいコーヒー豆を栽培するために様々な改良がされ続けているのです。
参照記事
ミューシレージとは何か?コーヒー豆を精製する5つの方法

エルサルバドル産コーヒー豆の味

エルサルバドル産コーヒー豆の味をひとことで言うと、飲みやすいマイルドな酸味とすっきりとした後味が特徴的です。キャラメルのような甘みを感じることもあり、豊かな香りが楽しめます。 飲んだ後に変な苦味が残ることもないので、あっさりしたコーヒーが好きな人にとっては飲みやすいです。
また、エルサルバドル産コーヒー豆の等級は、その標高の高さによって決まっており、標高1,500m以上で栽培されたコーヒー豆はSHB(ストリクトリー・ハード・ビーンズ)、標高1,500m以下で栽培されたコーヒー豆はHG(ハイ・グロウ)と、より高い標高で栽培された方がランクが高くなります。 エルサルバドルという産地名と合わせて「エルサルバドル SHG」といったように、産地名と等級名を合わせて表記することが一般的です。 国家をあげてコーヒー豆の栽培を行っているエルサルバドル産のコーヒー豆は今後更に進化を続けていき、美味しいコーヒー豆になっていくかもしれませんね。
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