「フォレストコーヒー」をご存知でしょうか?コーヒーの名称なのですが、おそらくみなさんには馴染みのない名前だと思います。
この「フォレストコーヒー」はスリランカで栽培されるコーヒーのことなのです。スリランカのコーヒー栽培文化はかなり独特で、中南米やアフリカの農園のように「コーヒー畑」で栽培されるのではなく、スリランカの森の中で栽培されるのです。
「フォレストコーヒー」の由来はそこからきています。 今回はこのスリランカのコーヒー「フォレストコーヒー」について説明しようと思います。
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フォレストコーヒーが採れるスリランカはどんな国か
インドの南にある島で、スリランカというのは「スリ=聖なる ランカ=島」という意味です。1972年までは「セイロン」と称されていましたが、イギリス連邦内の共和国になったことをきっかけに国名を「スリランカ共和国」に、1978年に「スリランカ」に改称した。
島の面積は九州より少し大きいぐらいで、人口は2000万人。いろんな宗教徒が住んでいる国です。 セイロンティーという紅茶があるように、お茶の生産国としてかなり有名です。
紅茶の生産量はなんと世界第3位!!島の南東部の「ウバ」地方は、強い日差しと冷涼な気候を兼ね備えた山岳地 帯で、インドの「ダージリン」、中国の「キーマン」と並ぶ世界三大銘茶の生 産地の一つです。
実は、この紅茶生産は1869年のコーヒーさび病という病気によるコーヒー栽培の失敗の代替策として栽培が始まったのです。つまり、実はコーヒー栽培が先に行われていた地域なんですね。
オランダの統治下にあった17世紀にコーヒー栽培が始まったのです。 そのあと、イギリスの統治下になった後は茶・綿などのプランテーション農業が行われましたが、1948年に独立し、現在に至ります。
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フォレストコーヒーとは何か
最初に説明しましたように、フォレストコーヒーとは木々を伐採せずに森の中で栽培されたコーヒーのことを指します。かつて産業の中心だったコーヒー栽培を復活させようとスリランカの国家プロジェクトとして栽培が再開されています。
栽培されるのは「スリーパーダ」というスリランカ島の真ん中にある最高標高2.243mの山。さらにスリランカのウバ地方は、平均気温は 20 度前後で霜が降りないこと、 1,500mm 以上の年間降雨量、高い標高、肥沃で水はけの良い土壌など、良質なコーヒーを育てるのに必要な様々な条件を満たす地域でもあり、そこで栽培されるコーヒーがロブスタ種のコーヒーであっても美味しいと噂されています。
ここで栽培されたフォレストコーヒーはフラワリーでグリーンハーブ系の味と香りの余韻が続く、スリランカコーヒーならではの独特の味わいに仕上がっています。
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実は日本と関係が深いフォレストコーヒー
元々JICA(国際協力機構)がコーヒー豆の育成指導を実施し、植樹が開始されました。その後、フェアトレード商品として日本へも輸出がされています。
昨年の生産出荷実績は700kg、今年は2300kgと増えてはいますが、依然希少であり、日本で卸しから販売まで行なっているのは、日本フェアトレード委員会だけです。 現段階では希少なコーヒー豆であることは間違いないですね!!
かつてコーヒーの生産量世界1位とまで言われたスリランカのコーヒー文化は一度、さび病によって衰退しました。しかしながらコーヒー栽培に向く気候条件を生かして国家をあげてプロジェクトに取り組みました。
しかもその栽培方法は「コーヒー畑」ではなく「森林の中」。とても環境に配慮されたコーヒーが私たちのコーヒーライフの一部になるのはいつになるのか、今から楽しみですね!
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