毎年春が近づいてくるとスターバックスからフラペチーノの新商品が出ます。桜をテーマにしたフラペチーノが出ることが定番になっており、絶大な人気を誇っています。スターバックスは当然コーヒーを売っているのですが、フラペチーノも看板商品の1つです。
僕が学生時代にバイトをしていた時にも、特に夏場はコーヒーよりもフラペチーノの方が注文が多くて、なんで僕はカフェで働いているのにフラペチーノをひたすら作り続けているのだろうと思っていたこともあります。今回はそんなフラペチーノについて書いていこうと思います。
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フラペチーノはセカンドウェーブを影で支えていた
コーヒーの歴史を見た際に、よくコーヒーの進化の過程を波(ウェーブ)で表現することがあります。一般大衆がコーヒーを飲み始めたファーストウェーブに始まり、スターバックスなどチェーン店が登場したセカンドウェーブ、ブルーボトルコーヒーなど更にコーヒーのクオリティを上げたサードウェーブというようにです。
セカンドウェーブの立役者として必ずと言っていいほどスターバックスコーヒーが語られます。スターバックスコーヒーの中でもドリップコーヒーやエスプレッソ系のドリンクであるラテやカプチーノなどが語られることが多いですが、僕はフラペチーノもスターバックス、ひいてはセカンドウェーブを支えてきたと思っています。コーヒーの発展の過程で“フラペチーノ”が必要不可欠であったのです。
フラペチーノの歴史
フラペチーノを発明したのは実はスターバックスコーヒーではありません。フラペチーノを発明したのは「the Coffee Connection」というボストンにあるカフェでした。
1992年にthe Coffee ConnectionのオーナーであるGeorge Howellは夏場に下がるコーヒーの売上を伸ばすにはどうすればいいか考えていました。彼はマーケティング責任者であるAndrew Frankに、the Coffee Connection独特の面白いコーヒードリンクを作れないかと相談しました。
Frankは面白い商品を開発するためにいろいろと試してみました。日本ではまり馴染みがありませんが、もともとアメリカではフローズンヨーグルトが飲まれる文化があり、それを作るためのミキサーのようなものがthe Coffee Connectionにもありました。
そのミキサーにコーヒー、砂糖、牛乳、氷をブレンドしてみたところ、クリーミーで美味しいコーヒーアイスシェイクが出来上がりました。これがフラペチーノ誕生の瞬間でした。
ニューイングランドではミルクシェイクのことを「フラッペ(frappe)」と呼びます。それに「カプチーノ(captino)」を合わせて出来たのが「フラペチーノ(Frappuccino)」です。これがフラペチーノという名前の由来です。ブルーボトルコーヒーを始めて耳にした時もそうですが、コーヒー業界はネーミングセンスが良いものが多いなと思います。
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フラペチーノは莫大な利益を生み出すドル箱へと化けた
このフラペチーノはボストンのコーヒー文化を大きく変えました。そしてHowellの店の売上も順調に上がり、翌年には店舗数も2倍の23店舗にまで増えました。そのタイミングでスターバックスコーヒーがHowellに、運営している23店舗のカフェとフラペチーノの使用権を買収したいと相談にきました。
そしてスターバックスは1994年にthe Coffee Connectionを23億円($23M)で買収しました。フラペチーノはスターバックスコーヒーでもバカウケして、2年後の1996年にはフラペチーノだけで52億円($52M)の売上をあげました。
その後もフラペチーノの人気は衰えることを知らず、現在でもスターバックスの売上に占めるフラペチーノの割合は高く、世界中のスターバックスの売上の20%はフラペチーノであり、金額で見ても2,000億円($2B)を超えています。
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フラペチーノは人々のコーヒーに対する認識を変えた
今やスターバックスコーヒーはコーヒー屋であると同時にコーヒーアイスクリーム屋さんでもあるのです。コーヒー好きの人たちの中には、スターバックスコーヒーのフラペチーノを毛嫌いしている人もいます。あんなの本当のコーヒーではない、カフェだったら美味しいコーヒーで勝負しろやと言った意見があります。
もしかしたら確かにその通りなのかもしれません。しかし、僕の個人的な意見としては、フラペチーノの発明とスターバックスコーヒーがそれを世界中に広めたことを通して、人々のコーヒーの楽しみ方がさらに増えたと思います。そしてそれはコーヒーの発展を考える上でとても大切なことだと思います。
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例えばブラックコーヒーが嫌いな女子高生がいたとしても、スターバックスのフラペチーノを友達とだべりながら飲むのは好きという人は多いと思います。フラペチーノの発明によって、そういう人でも今までとは違った方法でコーヒーを楽しむことができるようになりました。
この意義はコーヒー業界にとってとても大きく、かつてフラペチーノがコーヒー業界の常識を変えたように、今後はもっといろんな形で“新しいコーヒー”の開発が進んでいくのではないかと思います。
今から数十年後には想像もしていなかったようなタイプのコーヒードリンクが開発されて、それを当たり前のように楽しむ時代が来るのかもしれません。コーヒーを活用した商品開発が進めば、それだけコーヒーの楽しみ方も増えるのです。
この記事は
Boston「The Story of the Frappuccino」を一部参照しています。