世界三大コーヒーというフレーズが世の中にはあるそうです。その1つ目は「ブルーマウンテン」、2つ目は「キリマンジャロ」です。そして最後の3つ目が、今回ご紹介するハワイ産のコーヒー豆である「コナ」になります。
日本人にとってハワイは馴染みが深いと思います。結婚式はハワイでする人もけっこういますし、有名人が年末はハワイで過ごすとかもよく聞きますね。僕は行ったことがないですが、日本人の観光客が多く、現地では日本語が通じるという噂を聞いたこともあります。
そんなアロハな地域であるハワイ産の高級豆であるコナについてどんなコーヒー豆なのかご紹介していこうと思います。
目次
1). 今更だけどハワイってどんなところ
2). ハワイといったら「コナコーヒー」
3). ハワイ産コナコーヒーの歴史
4). ハワイ産コナコーヒーの味
5). コナコーヒーのハワイでの栽培方法
今更だけどハワイってどんなところ
ハワイはアメリカ合衆国の州の1つであり、太平洋に浮かぶ常夏の島です。面積は約17,000㎡で、日本の岩手県とだいたい同じくらいの大きさです。大小様々な132にも及ぶ島々から成り立っているものの、観光客がよく行くのは主要6島のみであり、世界有数のリゾート地として知られています。
とにかく小さい島がめちゃくちゃ多いんですね。その中でも一番大きい島がハワイ島であり、標高4,000mを超えるマウナ・ケア山などが存在しています。人口は約130万人なので、日本の1/100くらいですね。赤道付近にある島々なので、ご想像の通りポカポカした気候になっております。
ハワイの人たちはマイペースな人が多い印象が個人的にはあります。ハワイ出身で仲の良い友達が1人いるのですが、すごいおっとりとした人で「なんとかなるさ〜」くらいのテンションでいつも生きている人でした。日本でいう沖縄の人に似ていて、抜群の人柄の良さとマイペースさがハワイの人たちにもある気はします。
ハワイといったら「コナコーヒー」
(1) コナコーヒーは世界三大コーヒーの1つ
そんなハワイですが、ハワイで断トツに有名なコーヒーが「コナコーヒー」です。ハワイはたくさんの島で成り立っているのですが、その中で一番大きいのがハワイ島です。そのハワイ島の西部にコナ地区というエリアがあり、コナコーヒーはそこで採れます。
コナコーヒーを聞いたことが無いという人もいるかもしれませんが、 このコナコーヒーは、ブルーマウンテン、キリマンジャロと並んで世界三大コーヒーの1つに入っています。ブルーマウンテンとキリマンジャロについては日本でも人気で聞いたことがある人も多いのでは無いでしょうか。
実際にコーヒー豆の木の苗木はブルーマウンテンと同じものが使われています。コナコーヒーは100年以上の伝統を持っており、少しずつ進化を遂げて今の最高級のコナコーヒーが生まれました。
- 参照記事
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(2) ホワイトハウスの公式晩餐会でもコナコーヒーは飲まれる
コナコーヒーの生産は世界のコーヒー生産量の1%以下といわれており、その生産量の少なさからも希少性が出ております。最近ではトランプ大統領がいろいろと言われていますが、ホワイトハウスの公式晩餐会では毎回コーヒーがふるまわれます。
しかしアメリカでコーヒーを生産しているのはハワイ州だけなので、そのホワイトハウスの公式晩餐会では必ずコナコーヒーが提供されるそうです。(実際にはアメリカではハワイ以外の州でもローカルでコーヒー豆の栽培を行って販売している州がいくつかあり100%ではないですが)
(3) ハワイ島の火山地帯でコナコーヒーは栽培される
コナコーヒーはハワイ島にあるマウナ・ケア山とマウナ・ロア山の斜面で栽培されます。コーヒーは標高1,000m以上の高いところで栽培されることが多いのですが、コナ地区は標高わずか600m前後です。
しかし海洋性気候であったために、他のエリアでいうところの1,200mと同等の気候条件になっています。また、シェイドツリー(日照量をコントロールするためにコーヒー豆の木の横に植える木)がほとんど必要でないということも他のコーヒー豆の産地とは違う特徴の1つです。
平地に比べてコナ地区の山の斜面は涼しくて、曇ることも多いためにシェイドツリーがそこまで必要ではないのです。この他のコーヒー豆の産地とは違う気候がコナコーヒーに独特な風味をもたらすのです。ハワイの火山が作り出す環境が、コナコーヒーを支えているのです。
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(4) コナコーヒーの等級について
コーヒー豆の等級を決める方法は国によって異なります。ハワイのコナコーヒーの場合には、コーヒー豆粒の大きさと欠点豆の含有具合で決まります。基本的にはコーヒー豆粒の大きさが大きい方が、完熟度が高くて良い味になります。
なのでコナコーヒーの場合にも、コーヒー豆粒のサイズが大きい方がランクが高くなり、一番大きいコナコーヒーは「エクストラ・ファンシー」と呼ばれており、最高の等級が付けられています。コナコーヒー全体に占めるエクストラ・ファンシーの割合は15%しかなく、その生産量はとても少ないです。
エクストラ・ファンシーからサイズが下がるにつれて、「ファンシー」「No.1」「セレクト」「プライム」と等級が下がっていき、5等級に分類されていきます。個人的な印象としては、等級が高い方が味はまろやかである気がします。
この5等級までが「ハワイ・コナ」の名前を名乗ることができ、それ以下の等級のコーヒー豆は、たとえハワイのコナ地区で栽培されたとしても、コナコーヒーを名乗ることができません。
(5) 幻のコナコーヒー「ピーベリー」
ちなみに実はこの5つの等級の格付け外に裏ボス的な感じで最高級のコナコーヒーが存在しています。それは「ピーベリー」と呼ばれており、幻のコーヒーとも呼ばれています(笑)
普通のコナコーヒーとは別にコーヒー豆の形状で特別に選ばれたコーヒー豆になります。普通のコーヒーの実には平らな豆が2粒入っているのですが、ごく稀に丸いコーヒー豆が1粒だけ入っていることがあります。
そのコーヒー豆は密度が濃く、かつ焙煎する際に均一にコーヒー豆を煎ることができます。その生産量の少なさと手間のかかり具合、コーヒー豆の濃厚さから、もともと高価なコナコーヒーの中でも最上級と言われており、なかなか市場で流通することもありません。
ピーベリーはコナコーヒー全体の3%程度しか獲れません。確かに通常であれば2つのコーヒー豆に供給されるべき養分が全て1つのコーヒー豆に入るので、より濃厚になることには納得がいきます。栄養分も2倍ですが、値段も普通のコーヒー豆より2倍くらいします。
- 参照記事
- ピーベリーとは何か?!レアな高級コーヒー豆の特徴について
(6) ハワイの格付けは世界で最も厳格
そんなコナコーヒーの格付けですが、ハワイ州政府からの格付けは世界で最も厳格であると言われています。もともと国がアメリカなので、より厳格にチェックされるのでしょう。この厳格さがコナコーヒーの品質維持に貢献しています。
ちなみにコナコーヒーの純度が100%のものを「コナコーヒー」と呼びますが、中には他の産地のコーヒーと混ぜてブレンドすることもあります。その場合には純度が10%以上のものに限って「コナブレンド」と呼ばれます。
たとえ10%であってもコナコーヒーが入っていればコナブレンドと名乗れるので、コナブレンドを飲む際には、その割合をチェックすると良いかもしれません。
(7) コナコーヒー以外のハワイのコーヒー
コナコーヒーは昔から人気ですが、最近では他のハワイ産のコーヒー豆についても人気が出てきています。実際にコーヒー豆の生産量だけで行ったらコナコーヒーが採れるハワイ島よりも、カウアイ島ハナペペの方が多いのです。
ハワイはいくつもの島々から成り立っており、他の島でもコーヒー豆を栽培することができます。その中でも最近人気なのが「カウコーヒー」です。コナコーヒーと同じハワイ島ではあるのですが、ハワイ島南部で採れるコーヒー豆であり、オバマ大統領の就任スピーチで振舞われて注目を集めました。コーヒー豆の競技会でも入賞したりと話題を集めています。
ハワイ産コナコーヒーの歴史
ハワイにコーヒーが伝わったのは1825年です。オアフ島の総督ボギがブラジルのリオデジャネイロに行った際にコーヒー豆の木を持って帰ってきたのがきっかけだと言われています。
その後もキリスト教の宣教師たちが観賞用植物としてハワイにコーヒー豆の木を移植しました。植民地時代に欧米諸国が途上国に進出した際に、キリスト教の宣教師が同乗し、そのタイミングでコーヒー豆の栽培方法を伝えるというのはよくあるパターンです。
その後、1840年頃にはコーヒー豆の栽培に最適であったハワイ島のコナ地区で、コーヒー豆の木の栽培が広まっていきました。そこから少しずつ広まっていき、1866年には有名作家のマーク・トゥエインがコナコーヒーを紹介したことで一気に知名度が上がりました。
その後、世界大戦などの影響も受けて紆余曲折を何度も繰り返しながらもコーヒー好きによって愛され続け、世界三大コーヒーと言われる現在の絶対的な地位を手に入れたのです。
ハワイ産コナコーヒーの味
そんな高価なハワイ産コナコーヒーの味は、とにかく香りが豊かで口当たりが良く後味がすっきりしています。独特の強い酸味を持っているのですが、安っぽくなくて嫌味のない酸味です。
苦味も抑えられており、コクはしっかりとしています。とにかくバランスがしっかりとしており、爽やかスッキリ系のコーヒーになっています。
- 参照記事
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コナコーヒーのハワイでの栽培方法
ハワイはたくさんの島々によって成り立っており、マウイ島、オアフ島、カウアイ島など様々な島でコーヒーは栽培されています。その中でもコナコーヒーは一番大きな島であるハワイ島の西部にあるコナ地区で生産されています。
(1) ハワイ島の火山がコナコーヒーを支える
コナコーヒーの栽培に関して最も特徴的なことは火山エリアにあることです。他の有名なコーヒー豆の産地にも言えることではあるのですが、コナコーヒーはハワイの火山灰のミネラルを含んだ肥沃な土壌によって支えられています。
実際に火山灰を砕いたような色をした黒色の小石の上にコーヒー豆の木が植えられることもあるそうです。火山と美味しいコーヒー豆には深い関係性があります。
(2) 標高は普通に比べて低いのがコナコーヒーの特徴
コナコーヒーが採れるのは、ハワイ島にあるマウナ・ケア山とマウナ・ロア山の斜面であり、標高はわずか600m前後です。これは一般的なコーヒー豆の木の栽培環境に比べるとかなり低いです。
しかしコナ地区の地理的な要因から、標高は低いものの適切な日照量、降水量、気温を維持することができるのです。昼間は海岸側から暖かい風が吹き、夜間は山側から冷たい風が吹くことで昼夜の温度差が激しくなり、身の引き締まったコーヒー豆を栽培することも可能にしています。
このハワイ独特の気候条件が、他のエリアでは獲ることができない独特なコーヒー豆の風味を実現させているのです。
(3) 機械を使わず人の手でコナコーヒーは収穫される
ハワイ産のコナコーヒーは機械で大量収穫をすることなく、基本的にはすべて人の手で1つずつ収穫されていきます。また精製方法についても水洗式という手間のかかる方法で加工されていきます。
またコナコーヒーは高い品質を維持するために、ハワイ州政府が厳しい品質管理を行っております。なのでコナコーヒーはコーヒー豆全体の生産量の1%にすらならず、希少性が高いです。
世界最高級のコーヒーが世界最高になるには、当然それに至る深い理由があったのです。普段何気なく飲むコーヒーですが、その背景を想像するとより楽しめるかもしれませんね。
- 参照記事
- コーヒー豆の産地と栽培条件の特徴について【保存版】