キース・ファンデルベステンというエスプレッソマシンについて知っている人はそこまで多くないと思います。エスプレッソマシンの中でも最高ランクに位置しているマシンの1つであり、何と言ってもその抜群のデザインセンスは群を抜いています。
キース・ファンデルベステンのエスプレッソマシンはエスプレッソドリンクを飲むためのマシンであると同時に“アート”でもあると言われています。そのスタイリッシュなデザインから、エスプレッソマシンのキャデラックといニックネームがあるくらいです。
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キース・ファンデルベステンはエスプレッソマシンにデザインを持ち込んだ
キース・ファンデルベステンはその名前の通り、Keesによって作られたエスプレッソマシンです。しかし、創業者であるKeesはもともとコーヒーの愛好家というわけではありませんでした。
大学でデザインを学んでいたKeesは、テスト勉強をするためにカフェインが必要でコーヒーを飲んでいましたが、あの苦いコーヒーはどうしても好きにはなれなかったと振り返っています。
しかし、当時のエスプレッソマシンはどれも機能にのみ着目しており、デザインまで考えて作られているエスプレッソマシンは存在しませんでした。そんな“金属の塊”だったエスプレッソマシンにデザインの概念を持ち込んだのがKeesでした。
これはスティーブジョブズがMacのコンピュータにしたことに似ていると思いました。もともとコンピュータというデザインや使いやすさを無視して機能のみに特化した“金属の塊”にデザインを持ち込んだのがスティーブジョブズであり、キース・ファンデルベステンはそれをエスプレッソ業界で行ったと言えます。
僕がシリコンバレーで働いていた際に、「トイ・ストーリー」などで有名な映画会社のピクサーを訪問したことがあったのですが、ピクサーについても、もともと高度なアニメを編集する技術を持っていて、そこにスティーブジョブズがアートの要素を入れることで成功しました。
この「技術」と「芸術」を合わせてイノベーションを起こすということはあらゆる業界で起こっており、それをエスプレッソマシンで実行したのがキース・ファンデルベステンでした。日本人は「技術」が強いけれどもそこに「芸術」を合わせるのが苦手と言われており、キース・ファンデルベステンから学べることは多いと思います。
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キース・ファンデルベステン以外にも様々なエスプレッソマシンがある
何もキース・ファンデルベステンだけが最高のエスプレッソマシンであるというわけではありません。コンピュータでMacが好きな人がいればWindowsが好きな人もいるように、エスプレッソマシンもその人やカフェのタイプによっていろんな種類があります。
たとえば「Slayer」や「Synesso」は見かけのデザインも優れており、日本でもコーヒー好きの間では人気です。キース・ファンデルベステンと同様に、思わず見入ってしまうようなデザイン性の高さがあります。
スターバックスで広く使われていることからおそらく日本で最も人気なのは「Marzoccos」なのではないかと思います。Marzoccosは大量生産するために品質が低いとも言われていますが、安定感のあるエスプレソマシンです。
どのエスプレッソマシンにも良いところがあれば、悪いところもあります。しかし、個人的にNo.1を決めるならば、キース・ファンデルベステンのエスプレッソマシンが一番だと思います。もしキース・ファンデルベステンが自分の家のキッチンに置いてあったら間違いなく毎日が幸せになるんだろうなと思います。
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