●コーヒーを飲むと口臭はどうなるの?●

●コーヒーを飲むと口臭はどうなるの?●
先日、生まれて初めて「コーヒーを飲んだ後には口臭がする」という噂を耳にしました。
自分自身、コーヒー好きで飲んでいますが、今までに「口臭がする」という話は聞いたことがありませんでした。

そこで、いったいなぜ「コーヒーを飲むと口臭がするのか」をいろいろと調べてみました。

すると、コーヒーと口臭の関係についていくつかの仮説があることがわかりました。

しかし、いずれも根拠があいまいなものばかり。
さらに調査を続けていくと、コーヒーには意外なにおい物質が含まれていることが解りました。

コーヒーの気になるにおいのもとはフェノールという化合物だったのです。
しかし、コーヒーの味や香りはたったひとつの化合物によって決まるものではなく、数十種類にも及ぶ物質が生み出すものです。
その中からフェノールのにおいを嗅ぎとれるのはかなり敏感なひとであり、そもそもコーヒーの香り自体が嫌いな人なのかもしれません。
とはいえ、嫌いな人にとっては「納豆並みにたまらない悪臭に感じてしまう」らしいので、口臭がしないコーヒーの飲み方というのも合わせて紹介したいと思います。

●カフェインによる利尿作用
カフェインには利尿作用があり、尿の量が増えて体内の水分を通常より多く排出してしまうといいます。
そのため、口の中も唾液の分泌量が減り、乾き気味になります。
唾液にはラクトフェリンなど殺菌作用を持つ成分が含まれており、唾液が減ることで口腔内の細菌バランスが崩れ、悪玉菌が増えてしまいます。
口腔内の悪玉菌は食べかすを分解して悪臭を発生させ、これが口臭になる、という説。

しかし、この説ではコーヒーを飲んでから口臭がするようになるまで、何時間もかかりそうです。
また、利尿作用のある食品はカフェインを含むコーヒーだけではありません。
キュウリやスイカなどにも利尿作用がありますし、ビールなどは最たるものでしょう。
この説が正しければ、ビヤガーデンなどクサくていられなくなります。

●コーヒーを飲むと胃が荒れる説
コーヒーに含まれるカフェインには胃酸の分泌を促進する作用があり、胃壁を荒らしてしまうので、食べ物の消化が悪くなり口臭のもとになる、という説。
しかし、胃酸の分泌が即、潰瘍につながるわけではありません。
20年前から比べると胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者数は大きく減っていますが、これは胃潰瘍や十二指腸潰瘍の主な原因がピロリ菌であることが解り、治療法が大きく変わったためです。

胃酸の分泌を促すことが「過剰に分泌されること」や「潰瘍の原因」とイコールではないのです。
また、消化吸収が悪くなることと口臭の原因とが直接結びつかないともいました。

●カフェインのその他の作用
ほかにもカフェインに関しては覚せい作用によりコルチゾールとアドレナリンが過剰に分泌されて自律神経のバランスが崩れる、とか、血管を収縮させるので歯ぐきの血流が悪くなり歯周病菌や虫歯菌が増えて口臭のもとになる、とか、不眠になって免疫力が低下して口の中の悪玉菌が増える、などちょっとびっくりな仮説も多くみられます。

このようなことが本当に起こるなら、口臭どころではありません。
すぐに病院やクリニックを受診すべきでしょう。
これらのトンデモ仮説はさておき、次の説はちょっと気になります。

●口の中が酸性になるから説
おそらく以下の文章が拡散されて、この説が定着したのではないかと思われますが、コーヒーは、焙煎された褐色のコーヒー豆の微粒子がたくさん入っています。
これらが舌の表面を構成する舌乳頭に付着しやすく、また、コーヒーは著しく口 の中のpHを低下させると同時に飲みすぎると唾液分泌を抑制するからです。
口の中のpHが低下すると口臭を引き起こしやすい環境を作っていきます。

コーヒーの味の特徴は、その酸味と渋みに成ります。
酸味は口腔内pHの低下を起こし、渋みは唾液分泌を抑制します。
ほとんどの人は、コーヒーにミルクや砂糖を入れるので、これらも一緒に舌表面に残留し、唾液が少ないと飲んだ直後は、コーヒーのよい香りが残っています が、しばらくすると舌に残ったコーヒーの焦げ臭い焙煎成分とミルクや砂糖の分解による臭気が混じって特有の口臭を引き起こしやすくなります。
舌表面に残っている成分がなくなり、口腔内のpHが元の通りに唾液によって緩衝されると自然に臭気はなくなります。
コーヒーを飲む時は水を用意しておき、飲み終わるとすぐに水を口に含み、舌表面を口の天井でゴシゴシして、コーヒーの味や香りを完全にその都度取り除く事です。

最後に、水を少し含みコーヒーの味が残っていない事を確認して飲んでください。
ですがコーヒーは口の中のpHを著しく低下させると同時に唾液分泌を抑制する、とありますが、唾液のpHは6.8程度でコーヒーのpHは5~6くらいです。コーヒーでなくとも、食事のたびに口の中のpHは酸性に傾きます。
しかし、唾液の働きで1時間ほどで元にもどります。

また、コーヒーの味の特長は酸味と渋みにあるとしていますが、コーヒーの味は苦み、酸味、甘味、こくが複雑に絡み合って醸し出されるものです。
特定の味質だけを取り上げるのは無理があるでしょう。
ちなみに酸味は唾液の分泌を促します。
ただ、気になるのはコーヒーの粒子、つまりコーヒー豆のかすが抽出したコーヒーに混入して舌に残る、という点です。
ただし、ミルクや砂糖も残るのでこれらも口臭のもとになる、というのは違うと思います。
もしそうなら、ココアや紅茶でも口臭がする可能性があるからです。
しかし、コーヒーのにおい物質が舌や歯の表面に残り、それが不快なニオイを発生させているとしたら?

●口臭が緩和されるコーヒーの飲み方
深煎り焙煎のコーヒーは避けるのがいいでしょう。
深煎りのコーヒーは苦みが強く、香ばしさがあって好まれる方も多いでしょう。
しかし、深煎りではHHQなどフェノール類の雑味が強く、舌に残るフェノールのにおいは、苦手な人にとっては耐え難いかもしれません。
この際、深煎り焙煎はやめて、アメリカンローストとも呼ばれる、すっきりとした中煎りコーヒーを選んでみてはどうでしょうか。

●コーヒーのにおいのもととは?
コーヒーには多くの化合物が含まれ、複雑な味と風味を醸成していますが、なかでもクロロゲン酸というポリフェノールがその主役だと考えられています。
クロロゲン酸はコーヒーに含まれるカフェ酸とキナ酸が結合した化合物で、コーヒーの風味はクロロゲン酸が多いと渋く、少ないと酸味を感じるといわれます。
実は、コーヒーのクロロゲン酸は、生豆のうちは多く含まれていますが、焙煎するとかなり少なくなってしまいます。

クロロゲン酸には血糖値の上昇を抑制したり、肝臓での脂肪燃焼を促進するという健康効果が知られていますが、花王の研究ではクロロゲン酸の代謝物であるフェルラ酸には血管を拡張して血圧を正常化する作用があるそうです。

しかし、HHQはクロロゲン酸の血圧降下作用を邪魔するそうなのです。

そこで、花王では特殊なフィルターを使用してHHQなどの雑味成分を吸着し、クロロゲン酸が高濃度となるような製法を考案しました。

そして、この製法で作られたコーヒーを用いた風味実験を行ったのです。
通常の焙煎コーヒーとフィルターによって雑味成分を提言した高濃度クロロゲン酸コーヒーで「口に含んだ時の苦み」「飲み込んだ後、舌に残る苦み」「喉の奥で感じる香り」を評価しました。
すると雑味を除去したコーヒーは苦みを感じている時間が短く、喉の奥で感じる香りが長く持続する、という結果が出ました。

この事から言えるのが、不快な苦みはHHQなどの雑味成分がもたらしていたということです。

花王によると、焙煎によるクロロゲン酸類とヒドロキシヒドロキノン(HHQ)の変化を検証しました。
ヒドロキシヒドロキノンは別名をトリヒドロキシベンゼンともいい、タールなどに含まれ強い毒性を持ちます。通常のコーヒーに含まれる量では健康に影響することはありませんが、動物実験では発がん率の上昇が報告されています。

●最後に
これからは、コーヒーを一口飲んだら必ず水を口に含むようにしています。
口臭予防ではなく、歯に着色するからですが、この方法はコーヒーのにおい消しにもいいと思います。
でも、これからは大事な会議、面談など人と会う前にコーヒーを飲むのは控えるようにしたいと思います。

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