学生時代にスタバでバイトしていたのですが、感覚的によく注文が入る飲むものは普通のホットコーヒーとラテとフラペチーノでした。しかしごくまれにイケメンな外国人でエスプレッソ単体を注文する人がいました。
日本人でエスプレッソ単体を普段から飲む人はかなりレアだと思います。あの強烈な強さはわざわざお金を出してまで飲むものではないと思っている人が多いからだと思います。エスプレッソをお湯で薄めたアメリカーノもスタバは提供してますが、それはまだ飲む人が何人かいた記憶があります。
そんな日本人に馴染みのないエスプレッソですが、実はエスプレッソにもいろんな楽しみ方があります。エスプレッソの抽出量をコントロールする「リストレット」や「ルンゴ」、お湯の入れ方を変える「アメリカーノ」や「ロングブラック」などです。
エスプレッソは飲んだことあるけど、あんな強烈な強さのものは2度と飲まないと思っている人でも、エスプレッソを今までとは違う飲み方で飲んでみると好きになるかもしれません。今回はそんなエスプレッソ周辺のことを書いていこうと思います。
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そもそもエスプレッソとは何か
そもそもエスプレッソとは何か実はあまりよくわかってない方も多いと思います。よくカフェに行くと、ドリンクを作るところに仰々しく大きいコーヒーの機械があると思います。
あれがエスプレッソマシンであり、深煎りで細かく挽かれたコーヒー豆に、お湯を圧力をかけて流し込むことで、エスプレッソが抽出されていきます。表現が難しいのですが、ホットコーヒーをより濃縮させてできたのがエスプレッソです。
濃縮されているので、ホットコーヒーのように大きいマグカップに入れるのではなく、ショットグラスのような小さいデミタスカップにエスプレッソを入れるのが普通です。イタリアなどではそれに砂糖をたっぷり入れて飲む文化があります。
エスプレッソそのものを砂糖などを入れずに単体で飲むと、かなり強烈な味がします。夜更かしした後に、どうしても重要なプレゼンなどがあり、目を覚まして覚醒しないといけない時くらいしか飲んだことがありません(笑)
レッドブルに似た何かを個人的には感じますが、怖いもの見たさで1回くらいはカフェで注文してみても良いかもしれません。
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ルンゴとは何か
次に「ルンゴ」ですが、ひとことで言うとルンゴとは普通の2倍くらいの量のお湯で抽出したエスプレッソの事です。普通のエスプレッソはマシンにもよりますが、だいたい20秒前後くらいでコーヒーを抽出します。ルンゴはその2倍くらいの時間をかけて長い時には1分くらいで抽出します。
出来上がったドリンクの量もエスプレッソが30ml前後であることに対して、ルンゴは2倍になるので60mlくらいの量になります。もともとルンゴとはイタリア語で「長い」という意味であり、使用するお湯の量が多くて抽出時間が長いことからルンゴという名前がつきました。
ルンゴの味ですが、お湯の量が2倍になるから強さも1/2になるのかというと決してそうではありません。強さは確かに弱くなるのですが、コーヒーの可溶性成分は同じ速度で抽出されるわけではないからです。
また苦味は普通のエスプレッソよりも強くなります。これは一般的により多くのお湯が同じコーヒー豆を通るほど味は苦くなる傾向にあるからです。
余談ですが、「ルンゴ」の反対に位置する飲み物に「リストレット」というものがあります。これは使用するお湯の量を逆に少なくして、より濃度が濃いエスプレッソになります。
またエスプレッソショットを1つではなくて2つ使用する飲み物を「ドピオ」と言います。これはただ単にエスプレッソを2つ作って、それらを合わせただけの飲み物です。いろいろとあって紛らわしいですね(笑)
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- カッピングとは何か?コーヒーの味を見極める方法について
ロングブラックとアメリカーノの違い
エスプレッソそのものを単体で飲むにはとてもキツイという場合に、先ほどご説明したルンゴで飲むこともありますが、そもそもお湯を入れて割ってしまえということもよくあります。それが「アメリカーノ」です。
アメリカーノでは、エスプレッソを抽出したらそれにマグカップに入れてすぐにお湯を入れます。エスプレッソにお湯を大量に入れるので、味は比較的に普通のホットコーヒーに近づきます。
アメリカーノは第二次世界大戦中に、どうしても普通のコーヒーを飲みたかった軍人がエスプレッソにお湯を足して飲んだのがきかっけと言われていますが、誕生秘話についてはいろんな説があります。
一方で「ロングブラック」はほとんどアメリカーノと同じなのですが、アメリカーノがマグカップにエスプレッソを入れてからお湯を足すのに対して、ロングブラックは先にマグカップにお湯を入れてからエスプレッソを後に追加するために、ドリンクの作成順番が逆になります。
作成順番が変わるだけで一緒ではないかと思う人も多いかと思いますが、実はこれだけで味が結構変わります。エスプレッソを後から追加することで、コーヒーの苦い成分である「クレマ」というものが残り続け、より味が強くなります。アメリカーノでは後からお湯を追加するので、このクレマがすぐになくなりますが、ロングブラックは後からエスプレッソを入れるのでクレマが残ります。
入っている成分は全く同じなのに、作成順番が違うだけで味が変わるのは面白いなと思います。ロングブラックはもともとオーストラリアやニュージーランドなどのオセアニア諸国で好んで飲まれていたのですが、今ではヨーロッパにも広がっています。
海外のお店よっては、エスプレッソとお湯を別々に出してきて、自分でそれを割ることができるカフェもあるようです。これだとロングブラックを飲む前に、まず軽くエスプレッソだけ飲んでみることもできますし、自分で濃さを調節できるので良いですね。
このようにエスプレッソは意外に奥が深く、ルンゴ、リストレット、アメリカーノ、ロングブラックなど様々な楽しみ方があります。それぞれ試して飲み比べをしてみても面白いかもしれません。