インドネシア・スマトラ島で栽培されているコーヒー豆「マンデリン」。
マンデリンの特徴といえば、「苦味」と思っている方が大半かと思います。カフェ・珈琲メーカーなどでも、マンデリンは苦味の強いコーヒーであると紹介されています。
ですが、古くから知る人はマンデリンのことを「香りの強いコーヒー」「酸味のあるコーヒー」とも評しています。
なぜマンデリンの特徴が二つ、それも対照的なものが挙げられているのでしょうか。
知る人ぞ知る?マンデリンコーヒー
どうして今回、マンデリンの「酸味」にスポットを当てたかというと、私自身が某メーカーでドリップを習っていた際、マンデリンは「酸味の強いコーヒー」とされていたからです。
後々になってみると、店でも他メーカーでもマンデリンの特徴は苦味となっているので、あれ?と思ったワケなのですね。
実のところ、確定的な話はありません。憶測の域を出ないのですが、かなり信憑性の高いエピソードはいくつかあるのです。
インドネシアコーヒーの歴史「アラビカ」から「ロブスタ」へ
インドネシアでは1696年からコーヒーの栽培が始まっています。
当時はアラビカ種(酸味・香りのある一般的なコーヒー)が栽培されていましたが、コーヒーにとっては大敵である「さび病」の被害によって、多くがロブスタ種(苦味のあるコーヒー・病気に強い)に植え替えられました。
ですが、マンデリンのイメージの変化と関係しているかというと、微妙なところです。上記したさび病の被害は1908年頃のことで、日本で喫茶店が流行り始めたのはそれよりも少し後のことですから。

日本におけるマンデリンのイメージとは
マンデリンというと、今でいう「カフェ」よりも「喫茶店」で出されるコーヒーというイメージが強いですね。
昭和30年頃までは、喫茶店のメニューにもマンデリンは必ずといって良いほどあり、香りと酸味のあるコーヒーとして愛飲されてきましたが、インドネシアではコーヒー産業に見切りをつけた農家たちが農園を放置し、その時期頃からマンデリンの輸入が減ったあるいは無くなったといわれています。
ちょっと都市伝説っぽくなってきましたが…マンデリンは一度市場から姿を消しているのです。
その後、マンデリンはまた輸入されるようになり、なぜか「苦味」の強いコーヒーと変わっています。真意のほどは明らかではありません。
ただ焙煎度合が変わっただけという説
一般的にコーヒーは品種の特徴以上に「焙煎の度合い」で味も香りもかなり変わります。よく言われるのが、浅煎りだと爽やかに、深煎りだとビターに味わえるというものですね。
マンデリンは豆の繊維が柔らかく、同じ焙煎方法でも深煎りとなり、結果、苦みが増したという説。また、本国インドネシアでの栽培その他の過程で、品質の低下から雑味が出たという説もささやかれており、どれも信憑性は高いものです。
特にマンデリンは深煎りで飲まれることが多く、各種メーカーでも深煎りを薦められていますね。本来は酸味の強いコーヒー豆であることも、よくよく調べると記載されているところはあります。
気になる方は一度、マンデリンを中程度の焙煎で味わってみると、隠された「酸味」に気づけるかもしれませんよ。