オーガニックコーヒー豆とは本当に万能なのか?

オーガニックコーヒー豆とは本当に万能なのか?

少し前から街中やテレビなどでオーガニックという単語をよく見かけるようになりました。コーヒー業界においてもオーガニックコーヒーというものがカフェのメニュー表に載っているのも見かけるようになりました。 オーガニックと聞くとなんとなく体に良さそうなイメージはありますが、そもそもオーガニックコーヒーとは何なのか、誰が認証しているのかなどについて、今回は書いていこうと思います。
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オーガニックコーヒーとは何か

オーガニックコーヒーとはひとことで言うと、化学肥料や農薬を使わずに栽培されたコーヒーのことを指します。コーヒーに限らず植物を育てる際には、虫がつかないように農薬を散布したり、化学肥料を使って成長を促進させたりします。 しかし、オーガニックコーヒーではそれらの農薬、殺虫剤、化学肥料を使わずに、自然な方法でコーヒーの栽培が行われています。太陽の光、水、その土地の土壌など自然の恵みを活かした栽培方法と言えます。
コーヒーに限らず、何かと「オーガニック◯◯」という単語を目にすることがありますが、どれも基本的な考え方は同じで農薬や化学肥料を使わないことで、できるだけ人間の健康を損なう可能性のあるものを排除しようとしています。 個人経営のカフェなどでオーガニックコーヒーのメニューを見ることがよくありますし、最近では大手チェーン店でもオーガニックコーヒーを取り扱っているところが一部あります。

オーガニックコーヒーでないと体に悪いのか?

オーガニックコーヒーが農薬や化学肥料を使っていないと聞くと、じゃあオーガニックコーヒーでない、農薬を使っているコーヒーは全て体に悪いのかと言うとそうでもありません。 コーヒーを栽培する段階で農薬を使えば、最終的に出来上がるコーヒー豆にもある程度の農薬が残ります。これを残留農薬と言いますが、かつてはコーヒー豆の生産国の中にこの残留農薬が多すぎて輸入が禁止される問題などもありました。 しかし、今ではコーヒー豆を輸入する段階で規定以上の残留農薬があるコーヒー豆は輸入を禁止されており、人体に悪い影響のない範囲内のコーヒー豆飲み輸入されています。
この残留農薬の規定値は、国が人体に与える安全性の観点から十分に吟味された上で設定されています。ですので、オーガニックコーヒーでない=農薬が使われている=体に悪いコーヒーとは言えません。 かといって規定値以内だったら100%安全と断言できるものでもないかと思うので、それでも気になるという人はオーガニックコーヒーを飲むのが良いでしょう。
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オーガニックコーヒーの認定基準

あるコーヒー農家で採れたコーヒー豆がオーガニックコーヒーなのかどうか判断するために世界中に多くの認証団体が存在しています。オーガニックコーヒーの認定を行うのはその認定団体です。 オーガニックコーヒーの認定基準は過去3年間にわたって農薬などを使用せずにコーヒーが栽培されているかどうか、コーヒー豆の加工段階で添加物を加えていないかなどいくつかあります。 これらの審査をクリアしたコーヒー豆にはオーガニックコーヒーであることを証明するラベルがつけることができ、消費者はそのラベルをたよりにオーガニックコーヒーを見分けることができます。
有名なオーガニックコーヒーの認定機関は、OCIA(国際的認証機関)、USDA(オーガニック認定全米統一基準)、FVO、QAI、CCOFなどですが、他にもたくさんのオーガニック認証機関があります。
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日本国内においても、有機加工食品の製造業者という認定があり、オーガニックコーヒー専門の焙煎認定があります。農林水産省が認定するのですが、コーヒー豆を焙煎したりブレンドしたりする段階で、オーガニックコーヒーが他の豆と混入されていないことをチェックします。 このようにオーガニックコーヒーの認定は第三者機関によって客観的に行われており、信頼性のあるものといえるでしょう。

オーガニックコーヒーは万能なのか?

オーガニックコーヒーは万能で普通のコーヒー豆は全て劣っているのかというとそうも言えません。それはオーガニックコーヒーにもいくつか問題点があるためです。

(1) 放置しているコーヒー農園もオーガニック

本来ならばオーガニックコーヒーは手間がとてもかかると同時に高い技術力も必要です。実際に日本でオーガニック栽培をしている野菜などは手間とコストをかけている話をよく聞きます。 しかし、コーヒーの場合には当然手間と技術をかけているところもあるのですが、国によってはただ放置をしているだけのコーヒー農園も存在しているのが事実です。認定の基準が農薬等の使用をしているかどうかなので、ただ放置した低品質のコーヒー豆でも認定を受けることができるのです。
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(2) 認定を受けられないオーガニックコーヒー農家も多い

オーガニックコーヒーの認定は非営利団体によって行われていることが多いのですが、オーガニックコーヒーの認定を受けるためにはそれでもいくらかのお金が必要になります。 途上国の小規模コーヒー農家は貧困に苦労している人が多いです。そのためにオーガニックでコーヒー豆を栽培しているものの、オーガニック認証の審査を受ける費用がなくて認証が受けられない人たちが多くいます。

(3) コーヒーの美味しさを保証するものではない

農薬を使わないコーヒーは健康には良いかもしれませんが、それとコーヒーの味との関係は全くの別問題です。農薬を使わなければその分、害虫の駆除やコーヒーノキへの栄養供給で工夫をする必要があります。 しかし、それはコーヒーの味との関係とは直接的に結びつくわけではありません。美味しいコーヒーを作るにはそれに加えて別に栽培方法を工夫する必要があるためです。 他にもオーガニックコーヒーには年に1回だけの検査で、正確に無農薬の審査ができるのかが不明瞭な点など、いくつかの問題点が指摘されています。このようにオーガニックコーヒーも普通のコーヒー豆も一長一短であり、自分の好みにあったコーヒー豆を選ぶ必要があります。
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