あなたは「パーチメントコーヒー」というものをご存知ですか? 「どの銘柄?」「どんなコーヒー?」 と思われたかもしれませんが、パーチメントコーヒーとはコーヒー生豆になる前の段階のコーヒーのことを言います。
この「パーチメント」と呼ばれるコーヒーの殻を剥くことで初めてコーヒーは「生豆」という状態になるのです。そのためにパーチメントとはコーヒー豆を保護する皮のようなイメージになります。
今回はそんなパーチメントについて、そもそもパーチメントコーヒーとは何か、パーチメントコーヒーができるまでにどんな加工がされているのか、などについて書いていこうと思います。
パーチメントコーヒーとは何か
パーチメントコーヒーとはひとことで言うと、コーヒー豆の周りを包んでいる薄茶色の皮のことを言います。そのために内果皮と呼ばれることもあり、パーチメントコーヒーにはコーヒー豆を保護するような働きがあります。
コーヒーチェリーは外側から外皮、果肉、内果皮(パーチメント)、シルバースキン、種子という構造になっています。この種子の外側の部分を取り除いたものが「生豆」です。
コーヒーチェリーからウォッシュドで加工されたコーヒー豆は、実はこの「パーチメント」がついた「パーチメントコーヒー」の状態で保管し、輸出直前にパーチメントを脱穀するのです。パーチメントコーヒーの方が保存しやすいからなんですね。
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パーチメントコーヒーができるまで
コーヒー豆の精製方法はざっくりと2つに分けられます。ウォッシュド(水洗式)とナチュラル(乾燥式)です。しかし、パーチメントコーヒーができるまでにいろんな過程を踏んでいかないといけないのですね。
まずは水洗式。まず水槽に入れて収穫の際に紛れ込んだ葉や枝などを取り除くと共に、完熟した実が沈むことによって未熟の実と分別。分別された実は果肉除去機にかけられて果肉が取り除かれます。
ここで初めてパーチメントコーヒーが出てくるのです。パーチメントは殻としてはなかなかに強靭な殻で、少し粘着質の膜に覆われています。パーチメントコーヒーは更に醗酵槽と呼ばれる水槽に移され、パーチメントを醗酵させた後水洗いして取り除かれます。こうやってできたのがいわゆる「生豆」なのです!
一方の乾燥式。 乾燥式は乾燥場に果肉ごと豆を拡げて天日乾燥させ、外皮と果肉が黒く固い殻になってから脱穀するのが「乾燥式」の特徴。「乾燥させる」という手順を踏んでいますが、実は生豆には水分が10%ほど含まれていますが、乾燥式という手順を踏んでも水分が抜けないのはこの「パーチメント」のおかげなんですね。 生豆の状態を保ち、水分を蒸発させない役割がパーチメントにはあることがわかりました。
普段見ることのないパーチメントコーヒーですが、実はコーヒーの生豆の品質・状態をきちんと守るためには欠かせない役割を持っていたのですね。
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コーヒー豆によってはパーチメントコーヒーのまま保管する
基本的にパーチメントはコーヒー生産国で精製する段階で取り除かれて、コーヒー生豆の状態で日本へと輸出されます。
そのために日本でコーヒー豆を売っているお店では基本的にコーヒー生豆をそのまま販売しますが、中にはあえてペーチメントを取り除かずにパーチメントコーヒーの状態で日本へと輸入するケースもあるそうです。
パーチメントコーヒーの状態で輸入することで、コーヒー生豆を輸入の間やお店で保管している間も保護し続けて、お客さんから注文が入った段階でパーチメントを取り除き、コーヒー生豆にしてできるだけ新鮮な状態で届けるためです。
コーヒーは生豆の段階でもかなり環境の変化に強くて鮮度が落ちることは少ないのですが、できるだけ鮮度を維持したい場合にはパーチメントをつけたまま保管するケースも一部ではあるようです。
このようにパーチメントコーヒーはコーヒーが生豆になる前の段階のコーヒーになります。一杯のコーヒーが出来上がるまでにもいろんな人の労力がかかっているんですね。
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