Facebook御用達!パジャマで行けるサードウェーブコーヒ店ーPhilz Coffee

Facebook御用達!パジャマで行けるサードウェーブコーヒ店ーPhilz Coffee

日本でもBlueBottleCoffeeGORILLA COFFEEなどといったサードウェーブのコーヒーが続々と進出しています。BlueBottleCoffeeは2017年にも日本に新たに何店舗か出すと公表していました。 日本でも数年前から流行っているサードウェーブのコーヒーですが、サードウェーブ発祥の地であるアメリカでは、ユニークな方法で存在感を高めているサードウェーブ系のカフェがあります。 サンフランシスコやシリコンバレーといったTech系のスタートアップがひしめく、ニューヨークを超えて現在世界で最も“資本主義”的な街で、その街を支える多くのプログラマーから愛されているPhilz Coffeeです。

カジュアルでスウェットでも行けちゃいそうなサードウェーブコーヒー

サードウェーブコーヒーといったら無駄に形式張っていて、オシャレで、イケ好かないお店と思っている人も多いのではないでしょうか。実際にそういう部分はあると僕も思います。
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例えば清澄白河のBlueBottleCoffeeにスウェットで行ったら、完全に浮くと思います。僕はスケボーに乗るのが好きで、天気が良い日は仕事も遊びもスケボーに乗ったりするのですが、ある時に仕事の打ち合わせで品川駅に入っているBlueBottleCoffeeにスケボーに革ジャンで行ったら、完全に浮いてしまいました(笑) しかしPhilz Coffeeの場合はカジュアルさが売りであり、ゆるい感じの服装で、ゆるい感じの人がたくさんいます。サードウェーブコーヒーの店にありがちな鼻に付くウザさの無いぬるっとした雰囲気のそのお店はサンフランシスコのコーヒー好きにとっては無くてはならないものとなっています。 実際にお客さんは、Tech系のスタートアップで働いている人が多いので、スーツとか着るわけが無く会社のロゴ入りのパーカーを着ている人や、工事現場で働く肉体労働者や、近くの学校に通うオタク風の学生が多い印象があります。 Philz Coffeeの独特なカジュアルの雰囲気を出している要因に、マニュアルみたいな規則だったものに従っていないところがあると思います。海外では注文の際に、お客さんの名前を聞いて、コーヒーが出来上がったら名前で呼ぶというのが通例ですが、正直いちいちだるいからこの制度も廃止して、他のチェーン店みたいに名前で呼ぶことはありません。それが逆に人間的でカジュアルだという信念に基づいているとのことです。
実際に僕がPhilz Coffeeに行ってドリンク注文をした際にも 「初めてなんだけど何飲めばいい?」 と聞くと、店員に好みのコーヒーのタイプとかを聞かれ、最終的には 「とりあえずノリで作ってみるから、一口飲んでみてもし味が合わなかったら、少しずつ甘さを足して、あなたに合ったコーヒーを一緒に作ってみよっか」 と友達と話すような感じで言ってきました。カジュアル感ハンパなかったです(笑) ちなみにPhilz Coffeeはマニュアルを敢えて重要視していないので、当然ユニフォームなどあるわけがありません。なので店員はてきとうに好きな洋服を着るのですが、僕の店員は、日本のプロ野球の横浜ベイスターズの金城選手のユニフォームを着ていました。日本人としては突っ込まざるおえませんでした(笑) この肩の凝らない、カジュアルなサードウェーブがPhilz Coffeeの最大の特徴であり、日本のカフェにはまだ存在しないものだと僕は思います。
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注文方法がカオスすぎて初心者にはしんどい

カジュアルさを極めて、マニュアルに従わないがゆえに、注文方法は初心者には難しい問いう特徴もあります(笑) 注文方法は、まずバーカウンターで店員にコーヒーをオーダーします。次にレジに行って自分が何を注文したかを告げます。そしてまたバーカウンターに戻って、自分のドリンクができたら受け取ります。バーカウンターにはドリンクを作る人が4人くらいいて、自分のドリンクを作る担当の人が1人1人付くような形です。 文字に書くと簡単そうですが、実際にその場に行くと、どこ行けばいいんだという人で店内がごったがえして混んでいる時にはカオスになっていました(笑) 初めは何て非効率的なんだろう、バカじゃん。他のチェーン店みたいに、まずレジで注文して、それをドリンクバーで受け取った方が効率的で楽なのにと思っていましたが、不思議なもので、何回も行くとその非効率的な感じが楽しくて、逆に親近感のようなものがわいてきました。 敢えて非効率的なことをして、規則だった行動でお客さんも店員も動けなくしていることが、あの独特なカジュアルな雰囲気を作ることに貢献しているのかもしれません。
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エスプレッソマシンは存在しない

Philz Coffeeの特徴の1つに、カフェであるにも関わらず、エスプレッソマシンが存在しないということがあります。 なので、普通のカフェだったら飲めるラテ、カプチーノなどといったものが飲めません。あくまで提供するメインのドリンクは注文を受けてから作り始めるドリップコーヒーであり、サードウェーブに徹しています。 実際にドリップコーヒーの中には商品化するのになんと7年も研究を重ねてきたものもあり、ドリップの味に関しては強いこだわりを持っている。 コーヒーメニューは焙煎の程度によって、ライトロースト、ミディアムロースト、ダークローストの3種類の中から選ぶことができます。一般的なサードウェーブのコーヒーは季節の良い豆を店側が選んでブレンドすることが多いですが、Philz Coffeeではお客さんの好みに合わせて選びます。種類があまりにも多いので、素人には少ししんどいかもしれません。 ちなみに僕のおすすめは、「ミントモヒートのアイスコーヒー」です。看板商品として有名なドリンクでもあります。もともとミントはそんなに好きではないのですが、ここのミントモヒートのアイスコーヒーは、コーヒーにベストマッチしていて、お美味しかったです。

店舗によって雰囲気が全く違う

もう1つの特徴として、お店によって中の雰囲気が全く違うというところがあります。カジュアルなサードウェーブコーヒーという点ではどこも同じなのですが、他の点では店舗によって雰囲気が違います。 例えば、サンフランシスコの中でも若者やスタートアップの多い僕が住んでいたSOMA地区では、お店の内観が完全に地元のバスケットボールチームであるNBAのゴールデンステート・ウォーリアーズの写真で埋まっていました。
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このチーム、長らく不調で大して強くなかったのですが、最近めちゃ強くなって、街中が盛り上がっていました。それに合わせて、店の中もバスケチームの写真やサインなどで埋め尽くされていました。 逆に同じサンフランシスコでも、ファイナンシャルディストリクトといって金融系の比較的真面目なサラリーマンの多い地域では、木目調の落ち着いた雰囲気のお店が多かったです。 このように、同じ店でも地域の特徴に合わせてローカライズしているのも、大きな特徴だと思います。

Facebookをはじめ多くのスタートアップにより溺愛されている

このカジュアルな雰囲気が、サンフランシスコやシリコンバレーを拠点に働いているTech系のスタートアップから大好評であり、プログラマーから絶対的な信頼を得ています。 ここまで多くの店舗を出す前から、サンフランシスコの学生やプログラマーのたまり場として使われることが多かった経緯もあり、Tech系のスタートアップには多くのPhilz Coffeeファンが存在しています。 Tech系スタートアップの代表格とも言えるFacebookについても同様であり、FacebookのCEOであるザッカーバーグもPhilz Coffeeをテナント料を払わなくていいから、どうしてもFacebookの本社内に入れて欲しいと誘致したほどです。
ザッカーバーグのPhilz Coffee好きエピソードはまだあり、自身の結婚式にPhilz Coffeeのオーナー親子を呼んで、内輪の人しか参加できないパーティーでコーヒーを提供してもらったとも言われています。ちなみにこの時は、Philz Coffeeのオーナー親子の方が、いつも良くしてもらっているからと、お金をもらわずに無償で提供したと言われております。 Facebookに限らず、Twitterのジャック・ドーシーCEOにマーケティングのアドバイスを求めたり、Appleに従業員研修の方法を請いたりするなど、Tech業界とは深いつながりを持っています。 実際にTech系のスタートアップは、福利厚生を重視する傾向にあり、例えば一流シェフの料理を食堂で無料で提供したり、美味しいスナック菓子を無料で提供したりしているところが多いです。
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日本でもカフェで仕事を好んでするプログラマーなどがいますが、プログラマーとコーヒーの間には深い相関関係があり、福利厚生で美味しいコーヒーを提供するというのが重要になります。 Philz Coffeeのカジュアルな雰囲気で従業員同士がリラックスした状態で話し合うことが、Tech系スタートアップの生産性の向上に寄与しているのかもしれません。

みんなから愛される Philz Coffeeができるまで

創業はわりと最近で、2003年になります。創業者はパレスチナ出身のPhil Jaberであり、初めは酒販売店でした。その後コーヒーショップを出すために、1,000を超えるカフェを周って研究し、今でも看板メニィーとして存在しているTesoraというブレンドコーヒーが生まれました。 2000年代にネットバブルがはじけると酒類の販売が急落し、コーヒーショップへ本腰を入れて取り組むようになりました。息子のすすめもあってサンフランシスコを中心に店舗の拡大を行い、現在のPhilz Coffeeが誕生しました。
現在は約75億円($75M)を投資家やベンチャーキャピタルから調達しています。今後もさらなる発展が期待でき、もしかしたら日本にも進出し、新たなコーヒーブームを巻き込むかもしれませんね。
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