日本を南にずっと下っていくとフィリピンという国があります。日本と同じ島国で、バナナのイメージが強いですがコーヒー豆の生産地としても知られています。かつては世界中のコーヒー農家を襲ったさび病から免れて一大生産地になったこともあります。
今ではアラミドコーヒーやバラココーヒーなどユニークなコーヒー豆を生産することで知られています。今回はそんなフィリピン産コーヒー豆の特徴について書いて行こうと思います。
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フィリピン産コーヒー豆の生産
フィリピンにコーヒーがもたらされたのは、他のコーヒー生産国と同じように、欧米による植民地支配時代でした。フィリピンがスペインに植民地支配されていた1740年にスペインによってコーヒーが移植されたのです。
フィリピンへのコーヒー移植は成功し、1800年頃には世界でも5本の指に入るコーヒー豆の生産国へと成長しました。コーヒーは文字通りフィリピン経済を支えていたのですが、現在は下位に落ち込んでいます。日本でもフィリピン産コーヒー豆を見たことがある人は少ないのではないかと思います。
フィリピンで生産されているコーヒー豆は、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種など色々とありますが、その中でも90%以上の大半はロブスタ種になっています。そのために味がかなり強くドリップコーヒーなどよりもインスタントコーヒーなどへの使用が多いようです。
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フィリピン産コーヒー豆の歴史
フィリピン産コーヒー豆の歴史は1740年にスペインのキリスト教の修道士によってバタンガス州にもたらされたのが最初でした。もともとフィリピン産コーヒー豆はアメリカから人気がありました。当時はブラジル産コーヒー豆よりの値段も安かったためです。
特に1887年頃にさび病というコーヒー豆がうまく育たなくなる病気が世界中で蔓延すると、ライバルであるアフリカ、南アメリカ、東南アジアなどの国のコーヒー生産がガクッと落ち込みました。その中で、島国であるフィリピンはさび病から免れて、世界トップレベルの生産国になりました。
その後はさび病も落ち着いて他の国のコーヒー豆生産が復活するとフィリピンのコーヒー豆生産量も減少していきました。現在ではインスタントコーヒーに使用するために栽培が比較的に簡単なロブスタ種のコーヒー豆の栽培がメインになっています。
バラココーヒーはフィリピン産の人気コーヒー豆
フィリピンではアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種などいろんな種類のコーヒー豆が生産されているのですが、リベリカ種のコーヒー豆を生産している国は世界的にもとても珍しく、世界での流通量も極めて少ないです。
フィリピン産のリベリカ種コーヒー豆は「バラココーヒー」と呼ばれており、フィリピン土産として有名です。コーヒーノキは標高の高いエリアでしか生産できないのですが、このバラココーヒーは標高の低いエリアでも栽培することができます。
バラココーヒーとは日本語で”強いコーヒー”という意味であり、その名前の通りコクが強く味の強いコーヒーになります。酸味や甘味などはほとんどなく、いかにも東南アジア産のコーヒー豆といった風味です。
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アラミドコーヒーはフィリピン産の人気コーヒー豆
バラココーヒーと並んでフィリピンで人気なコーヒー豆がアラミドコーヒーです。アラミドコーヒーは高級なコーヒー豆として世界的にも有名です。このアラミドコーヒーとはジャコウネコのコーヒーとも言われています。
ジャコウネコという動物にコーヒーチェリーを食べさせて、その糞からコーヒー豆を採取するというものです。糞からコーヒー豆を採取すると聞くと何かいやな気分になりますが、ジャコウネコがコーヒーチェリーを食べることで外側の皮のみが消化されて、絶妙な具合に発酵されて美味しくなるのです。
このジャコウネコのコーヒー豆ことアラミドコーヒーはフィリピン産の最高級コーヒー豆として日本にも一部流通しています。
このようにフィリピンはかつては世界的にも多くの生産量を誇っていましたが、今では落ち込んでいます。一方でバラココーヒーやアラミドコーヒーなどユニークなコーヒーが多く、独自の地位を築きつつあるのです。興味があればぜひ一度フィリピン産のコーヒーを試してみてください。
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