ポートランドのコーヒー文化はサードウェーブにも大きな影響を与えた

ポートランドのコーヒー文化はサードウェーブにも大きな影響を与えた

アメリカの西海岸にあるオレゴン州にポートランドという街があります。ポートランドはコーヒーの街として知られているシアトルの少し南の方に位置しており、シアトルに負けないくらいコーヒーが街の人に愛されています。 ポートランドは”おしゃれ”な街として知られており、ポートランドのライフスタイルを真似しようという動きが日本でも起きました。そして、あまり知られていませんがポートランドはコーヒーの観点から見てもとても重要な街になります。
サードウェーブコーヒーの立役者の1つとして知られているスタンプタウン・コーヒー・ロースターズ(Stumptown Coffee Roasters)が店舗を構えているのもポートランドであり、日本でも多くのカフェがスタンプタウン・コーヒー・ロースターズを真似しています。 今回はそんなポートランドのコーヒー文化とサードウェーブの関係などについて書いていこうと思います。

ポートランドの文化は気取らないおしゃれ

日本でも最近になってポートランドのライフスタイルを真似する”ポートランドブーム”なるものが流行りましたが、ポートランドはアメリカの中でも独特な文化を形成しています。 ポートランドはアメリカ国内の住みたい街ランキングのようなものでも常にトップにランクインします。仕事だけでなく趣味や健康を重視したワークライフバランスのようなものが街全体で成り立っています。
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ポートランドの街中にはおしゃれなカフェ、アパレル、本屋、雑貨屋などで溢れています。しかし、おしゃれと言っても狙って日本の表参道のような狙ったおしゃれではなくて、もっとカジュアルで気取らないお店が多いです。 格好つけた街というよりはリラックスできる田舎のような感覚に近く、大量生産されたものではなくて、質の高いものを丁寧に使うというような地に足のついたような独特な雰囲気をかもし出している街です。 表面的な便利さよりも生活のクオリティを意識した価値観をもている人が多く、歴史的にも近代都市に対して嫌悪感すら感じられるヒッピーの人たちも多くいです。実際に、高速道路を撤去して緑のある公園にしたり、合理性を無視して路面電車を走らせたりすることで地域の人から愛される街づくりが行われました。
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ポートランドのコーヒー文化

そんな気取らないおしゃれという独自な文化を築いたポートランドですが、その文化は独自のコーヒー文化を生み出すことにもつながりました。ポートランドは地元志向が強いので、チェーン店も進出に手を焼いているようです。 実際にスタバがポートランドに進出する際にも住民による反対運動が起こり、進出後も長い列ができてみんながスタバを買うということはありませんでした。
地元のカフェもゆったりとした雰囲気の店が多く、店内にもチェーン店のようにぎっしりと席を敷き詰めるのではなくて、広い空間にぽつんぽつんと席が置いてあります。合理性という観点からは、回転率が悪くて売上の低下につながるのかもしれませんが、合理性よりも雰囲気を重視するスタイルが街では受け入れられています。 街のそれぞれの人が自分のお気に入りのカフェを持っており、毎朝そこでコーヒーを買って仕事に向かうというライフスタイルが確立されているようです。そして、そんなポートランドのコーヒー文化がサードウェーブコーヒーの代表的カフェの1つである 「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ(Stumptown Coffee Roasters)」を生み出しました。
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ポートランドとサードウェーブコーヒーの関係

日本でサードウェーブコーヒーと聞くとブルーボトルコーヒーがその代表格ですが、サードウェーブコーヒーのもともとのルーツは3つのカフェであると一般的には言われています。 1つ目はノースカロライナ州 ダーラムにあるカウンターカルチャーコーヒー(Counter Culture Coffee)、2つ目はイリノイ州シカゴにあるインテリジェンシアコーヒー(Intelligentsia Coffee)、そして3つ目がオレゴン州ポートランドにあるスタンプタウン・コーヒー・ロースターズ(Stumptown Coffee Roasters)です。
スタンプタウン・コーヒー・ロースターズは1999年にディアン・ソレンソン氏によって創業され、ポートランドの街中から外れたエリアに1号店をオープンして、今ではポートランド以外にも、ニューヨーク、シアトル、ロサンゼルスなどに進出しています。 ポートランドという街が作り出したゆったりとした雰囲気で品質の高いものを提供するという文化は、コーヒー業界にも波及しそれがスタンプタウン・コーヒー・ロースターズを生み出しました。 現在流行っているサードウェーブコーヒーの波も、このポートランドという街がなければこれほど浸透しなかったのかもしれません。
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