コーヒーの魅力に惹かれてカフェ・喫茶店をいざ開業しようと決意した時にまずハードルとして立ちふさがるのが、必要なお金をどうやって調達するかです。お店をしっかりと構えて開業する場合には、店舗を賃貸するお金もかかりますし、店舗を内装するお金やコーヒー器具代などいろんなお金がかかります。
それらにかかるお金を全部自分が今までにコツコツと貯めてきた貯金だけでまかなうことができれば問題ありませんが、開業を全て自分のお金だけでまかなえるのはごく一部の人だけです。カフェを開業するほとんどの人は銀行からお金を借りることでその資金を調達しています。

そんなカフェの開業資金を銀行から調達する際のポイントについて、
今までにいくつものカフェの開業資金を融資してきた銀行員の方にお聞きしてまとめました。
今回はあくまでカフェを開業するための資金を銀行から資金調達する方法について書かれている記事です。カフェという業種に絞っており、開業する前または開業してから1年以内のカフェの銀行からの資金調達に特化した記事です。開業してから数年経った後のカフェについては審査の基準も変わってくるのでご注意ください。
こんにちはー!カフェ開業を夢見て今まで準備して来たみさとです!今日はいろいろと教えてくださーい!
エリート銀行員のけんじです。まー、俺に任せろ!
顔があんまりエリートっぽくないけど...大丈夫ですか??
ん?!ああ。まー、俺に任せろ!
(この人で大丈夫かなぁ...)
目次
1). 銀行からお金を借りることは恥ずかしいことではない
2). カフェ経営で資金が必要になるタイミング
3). 銀行以外にもお金を調達する方法はある
4). カフェの開業資金を調達すための銀行の選び方
5). 銀行が開業資金の審査でチェックするポイント
6). 日本政策金融公庫から開業資金を調達する流れ
7). ワンポイントまとめ
※できるだけいろんな人にとって情報を網羅的に伝えようと思い、かなり文量の多い記事となっております。各章が記事として独立しておりますので、自分の興味深い章に絞ってご覧ください。
銀行からお金を借りることは恥ずかしいことではない
銀行からお金を借りると聞くと、何か後ろめたい気持ちを感じる人も多いのではないでしょうか。かなり感覚的な話ではありますが、日本人は他の人からお金を借りるという行為を恥ずかしいことと認識している人が多い気がします。
しかし、銀行からお金を借りるという話は決して恥ずかしい行為ではありません。
日本で誰もが知っているような大企業であるトヨタ、ソフトバンク、ユニクロなどは全て銀行からお金を借りていますし、日本で上場している全ての大企業が銀行から借り入れを行っています。

このようにビジネスをしていく上で銀行からお金を借りることは決して恥ずかしいことではなくて、当たり前とも言えることなのです。銀行からお金を借りる=会社の経営が行き詰まって苦しい企業のみが行っているわけでは決してありません。まずは開業にあたってそのマインドセットを行いましょう。
へぇー、どの企業もお金を銀行で借りて事業を行っているんだね!
飲食店の開業資金の調達先として自分のお金でやる人は全体の25%、親族から借りる人が7.8%に対して銀行から借りる人は65.7%もいるんだよ。(※日本政策金融公庫「2015年度新規開業実態調査」より)
ほとんどの人が銀行からお金借りてるんだ。
うむ!
カフェ経営で資金が必要になるタイミング
銀行からお金を借りることは決して悪いことではないのですが、だからと言って何でもかんでもお金を借りれば良いという訳では当然ありません。あくまで必要な金額のみを必要なタイミングのみに借りることが重要です。
具体的にカフェを経営する上でお金が必要になるタイミングはいくつかに限られています。まずはカフェを開業するための設備資金です。この設備資金とは具体的に、店舗の内装をいじってオシャレにする費用や、カフェ内のテーブルやイスを揃える費用、エスプレッソマシンや焙煎機などの機械を購入する資金です。
これらの設備資金はカフェを開業するにあたって最初にまとまって必要になります。開業する前の段階ではカフェからの売上や儲けが入ってこないので、
まずは銀行からお金を借りてその資金で設備にかかる費用を支払い、カフェの経営が軌道に乗ってきたらそのお金で銀行から借りたお金を返すわけです。
カフェの経営で最もお金が必要になるタイミングは、この開業に伴う設備の購入資金です。しかし、何も設備資金だけが必要な全てのお金ではありません。カフェは現金商売ですので基本的に設備資金以外のお金が必要になることは無いのですが、開業したばかりの頃はお客さんにお店の存在を認知されずに売上が軌道に乗りにくいです。

売上が軌道に乗る前の段階であっても、アルバイトの従業員の給料、賃貸料、コーヒー豆を仕入れるお金、水道光熱費などの費用は固定的に発生していきます。それらのお金を支払わなければカフェの運営ができなくなってしまうので、売上が軌道に乗るまでの資金を銀行から借りて行います。
逆にそれ以外のタイミングで銀行からお金を借りるのは危険です。当然それ以外のケースでも一部の例外はあるのですが、例えば売上が悪化してきたからそれを補填するために銀行から借りるケースなどです。
売上が回復する見込みがしっかりあって、回復したタイミングで余った利益から銀行にお金を返済する見込みがあるのであれば問題は無いのですが、ただ単に売上が落ちて、今後の打開策も無しにただなんとかしなければいけないと後手に回って銀行からお金を調達しても返済に苦労するのは目に見えています。
私も工事の業者さんからどれくらいの費用がかかるか見積もりを取ったんだけど金額の大きさにビックリしちゃった!
内装も外装も業者によって金額がけっこう異なるからいろんな業者から見積もり取って値段を比べた方がいいよ。
コーヒーをたくさん売って、そこから利益を上げて返済していく感じなのね。ざっくりどれくらいの売上あげないとダメなんだろうか。
600万円を5年返済で借りたら毎月10万円ちょっとくらいの返済だね。それを返済できるくらいは利益を出さないとダメだね。
銀行以外にもお金を調達する方法はある
この記事では銀行から資金調達をする方法をご紹介していますが、カフェの開業に伴って資金調達する先はなにも銀行だけではありません。開業に伴う資金調達の方法として、一番シンプルなのは家族・友人など身内からの資金調達です。
家族などの身内からお金を借りる
自分の親や結婚している場合には奥さん・旦那さんの家族も含めてカフェを開業したいのだけれどお金を貸してもらえないか相談して見るもの1つの手です。
いい大人になっても親のスネをかじるのかと負い目を感じるのも分からなくは無いですが、本気で開業を目指すならば使える手は全て考慮すべきです。
家族など身内から資金調達をするメリットは利子がかからないことです。これは家族との交渉にもよるのですが、身内からの資金調達だったら成功した後に同じお金をそっくりそのまま返してくればいいよというパターンが多いです。
銀行からお金を借りた場合には、お金を貸してくれる代わりに”利子”がついて、借りたお金の金額+αでお金を返済する必要があります。身内からお金を借りることでこの利子を無くして費用を抑えることができるのです。
ただし、家族や友人などの身内から資金調達をするデメリットとして、お金を返せなくなった時に縁が切れる可能性がある点があります。”金の切れ目が縁の切れ目”という言葉もありますが、友人は当然のこととして、たとえ家族であってもお金は繊細な問題です。
友人からお金を借りる場合には、この人は自分を信頼してお金を貸してくれているのだと感謝の心をしっかりと表現して、その信頼を裏切らないようにカフェを経営する必要があります。
投資家から出資を受ける
これはあまり現実的な手ではありませんが、ベンチャーキャピタルなどの開業したばかりの企業にお金を投資してくる投資家からの出資を受けるという資金調達方法もあります。
銀行はまだ比較的に馴染みがあるのでなんとなく存在は知っているものの、ベンチャーキャピタルについて知っている人はほぼ皆無だと思います。ベンチャーキャピタルはお金を供給するという点では銀行と同じなのですが、その方法は銀行とは全く異なります。
銀行はお金を”融資”するところであり、借りたお金は毎月利子をつけて少しずつ返済されていきます。一方でベンチャーキャピタルはお金を”投資”するところであり、投資する代わりにその会社の株式を買い取ります。
買い取った株式はそのままでは価値が無いのですが、その会社が上場または買収されることによって多額の現金に変化します。カフェの場合には上場や買収まで持っていくことが難しく、一般的にはITベンチャーなどが投資先になることが多いです。
しかしながら、アメリカで現在有名になっている
Blue Bottle CoffeeやPhilz Coffeeなどのカフェはこのベンチャーキャピタルなどの投資家から1億円を超える金額を調達しているという実績もあるので、カフェだから投資を受けることができないとも一概には言い切ることができません。可能性は低いものの、ベンチャーキャピタルからの資金調達という手段もあるのです。
もっともBlueBottleCoffeeの投資家からの資金調達はかなり特殊な条件下でいくつかの奇跡が重なり合って成功したので、普通にカフェを開業する場合には家族または銀行からの資金調達が無難だとも思います。
むむむ!親に協力してもらうのか。とりあえず今から電話かけてみる!
(後で電話かけろよ...)
あ、お母さん?!私だけど!私だよ、私!ちょっとカフェ開業したくてお金が必要になったんだけど200万円くらい振り込んでくれない?
(...オレオレ詐欺やん)
カフェの開業資金を調達すための銀行の選び方
カフェの開業にかかる資金を調達する方法として銀行から借り入れを選んだ場合に、次に必要になる作業はどの銀行を利用するかです。銀行と言われると、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行など、CMにもよく出てきて、ふだんの貯金やお金の引き出しにも利用しているところを想像するかと思います。
当然それらの銀行を利用するのも良いですが、ただ知っているからという理由だけで今後ずっと取引していくことになる銀行を選ぶのは浅はか過ぎるとも言えます。銀行は大きく、メガバンク、地方銀行、信用金庫、政府系銀行の4つに分けることができ、その中からカフェを開業するのに適した銀行を選ぶのがポイントです。
もともと銀行には企業にお金を貸す以外にも、会社からの給料を預けたり、預けたお金を引き出したりなど色んな機能があります。普通の人が利用する機能としてはお金を借りるよりも預けたお金を引き出すことの方が多いと思うのですが、その場合にはお金を引き出しやすい銀行が良いです。
そのために、都内ではあらゆるところに銀行があるメガバンク、地方では地方銀行が利用されているケースが多いです。しかし、銀行から開業資金を調達するという観点から見ると話は違ってきます。
一般的に、銀行の規模はメガバンク>都市銀行>信用金庫の順番に並んでいますが、カフェで開業する際の資金調達で考慮すべき銀行の順番は逆の信用金庫>都市銀行>メガバンクだと個人的には思います。
理由はいくつかあるのですが、何よりもの理由は銀行が企業にお金を融資する時に対象となる企業の規模がメガバンク>都市銀行>信用金庫と変わってくるためです。つまりメガバンクは大企業にお金を貸して、都市銀行は中規模の企業にお金を貸して、信用金庫は小規模の企業にお金を貸すためです。

開業する前のカフェや開業したばかりのカフェは規模がとても小さい(というかほぼ無に等しい)ので、間違いなく信用金庫または地方銀行が良いです。というか、カフェの開業をしたいのでお金を貸してくださいとメガバンクに言っても窓口で軽くあしらわれるケースがほとんどです。
また、ふだん見ている銀行とは少し別の立ち位置にいる政府系銀行というものが日本にはあります。具体的には”日本政策金融公庫”と言ういかにも政府系っぽい名前のところなのですが、この銀行は開業や小規模の企業への融資に特化しています。
そのために民間の銀行よりもカフェの開業に伴う資金調達をしやすく、かつ利率などの条件面もかなり好条件であるケースが多いです。開業する前のカフェは今度どうなるのかわからないのでリスクが大きいと見なされて利率などの条件面が悪くなる傾向にある中で、政府系ということで開業をサポートすると言う観点から好条件での資金調達ができるのです。
以上の理由から、カフェの開業でどこの銀行からお金を借りようか迷ったっ際には、
政府系銀行(日本政策金融公庫)または地元の信用金庫か地方銀行で資金調達を行うのが良いでしょう。
日本政策金融公庫とかすごい固そう。
固くない銀行員とか逆に信用できなくて嫌だろ。
確かに!でも、もっと可愛い名前にすればいいのに。チャラさが足りない。
(この子の頭の中、カプチーノの泡みたいにふわふわしてんな...)
銀行が開業資金の審査でチェックするポイント
銀行がカフェ開業資金の融資でチェックするポイントは絞られています。開業する前の場合には事業をまだ行っていないので普通の企業に対して銀行がよくチェックする決算書(売上や利益、資産や負債の情報が書かれている会社の成績表のようなもの)がありません。
普通の企業に対して銀行はこの決算書を見ながら、売上や利益がしっかりと取れているかどうか、預金などの資産は十分にあるか、銀行からの借り入れが多すぎないかなどをチェックすることができます。しかし、カフェをこれから開業しようという人に対しては、この決算書がないので普段とは違った特殊な審査を行うことになります。
とは言うものの、銀行が開業する企業にお金を貸すか貸さないか判断するポイントは主に3つしかありません。1つ目は自己資金(これまで自分で準備してきたお金)はある程度あるか、2つ目はこれまでにカフェで働いてきた経験があるか、3つ目はクレジットカードや公共料金などの諸支払いぶりが悪くないかです。
自己資金(これまで自分で準備してきたお金)はある程度あるか
カフェを開業したいと言う人を銀行員が審査する際にまずチェックするのが自己資金(これまで自分で準備してきたお金)があるかどうかです。開業に必要なお金なんて全部銀行とかから借りてやればいいと思う人もいますが、世の中そんなに甘くありません。
これだけの自己資金があれば大丈夫というボーダーラインの金額が具体的に決められているわけではありませんが、一般的に
開業に伴って発生する資金の1/3以上は自己資金があった方が良いと言われています。つまり仮に開業で必要な資金総額が1,000万だったら300万円は自己資金が必要です。
銀行に返さなくても良い自己資金があればあるほど、その分会社もつぶれにくくなるので、できるだけリスクを避けたい銀行から見れば当然の判断と言えます。また、自己資金は社長のやる気を判断する材料にもなると言われています。
本当に熱意を持ってカフェを開業したいという社長であれば、そのための下積みとしてどこかで勤務している間にそのためのお金をコツコツと貯金してためていくものです。どこかで勤務していた時に、自分の私生活をできるだけ質素倹約にして開業に備えてきた社長と、勤務していた時に飲んでばかりいた社長とでは熱意の差が一目瞭然です。
”アリとキリギリス”のお話ではありませんが、開業で銀行から資金を調達する際にも、若い頃からコツコツと貯金をして自己資金をためてきた人が勝つのです。全体総額の1/3以上の自己資金がなければ必ずしも借りられないというわけではなくあくまで目安でしかありません。

とりあえず自己資金が1/3には足りないけど審査をお願いしてみて、ダメだったら改めて自己資金を貯めてから出直すというのも1つの手です。銀行は過去の審査履歴も必ず残していますが、1度ダメだったから次回の審査もダメというわけではなく、問題点が解決されているならば2回目は審査が通るということも多くあります。
また、自己資金があるか審査される際には必ず過去からの蓄積があるかも確認されます。例えばその自己資金が会社員時代の給料から3年間かけてコツコツ貯めたものであれば、会社員時代の給料が入金されている預金通帳の履歴から本当にコツコツ貯めてきたものか調査されます。
ただ預金通帳に自己資金の1/3あれば良いというわけではないのです。ただ通帳の残高があるだけでよければ、極端な話ですが友達からお金を一瞬借りて残高が多いように見せかけて、銀行の審査が終わったら友達に返すという悪どい方法も通用してしまいます。
当然ながらそんな悪意のある人に間違ってお金を貸さないためにも銀行は自己資金が過去から蓄積されてきたものであるのかまで合わせてチェックします。
ここらへんが、すげー重要なポイントだよ。とりあえず自分で準備してきたお金がある程度必要なんだ。
自己資金が1/3は必要なのかあ。全部で600万円必要なんだったら、200万円は自分で準備して400万円を銀行で借りればいいのね。
最近では開業率を伸ばすために基準もゆるくなってきているみたいだけどね。
もっと基準がゆるくなれば、私でも借りられる可能性が上がるのに。
(この子意外に自信なくてナイーブなタイプなのかな。)
これまでにカフェで働いてきた経験があるか
カフェの開業における銀行の審査でチェックされる2つ目のポイントは、これまでに他のカフェなどで働いてきて経験を積んでいるかどうかです。開業する分野でしっかりと下積みの経験を積んできているかどうかチェックするわけです。
これまではずっと全く関係の無い業種で営業をやってきた人と、これまでにカフェで働いてきて経験を積んできた人とでは当然ながか開業してからカフェを運営していくスキルは全く違います。しっかりと経験を積んできていることでカフェの経営ノウハウが体に叩き込まれているからです。
一概にどれだけの経験年数があれば十分に経験を積んできているとも言えませんが、一般的に
同じ業種で3年以上の経験を積んでいれば必要最低限の業務経験はあると判断されることが多いです。ただし、これもあくまで目安であり、担当者や銀行によっては1年以上あれば必要最低限と判断するところもあります。
また、カフェでの勤務経験が少ない人であってもフランチャイズを活用していればノウハウ不足を補填できると判断される場合もあります。フランチャイズとは有名チェーン店のブランドでカフェを開業できるというものです。
フランチャイズに加盟せずに自分だけの力で開業した場合には、店舗名や内外装など全て自分で決めますが、例えばコメダ珈琲のフランチャイズに加盟した場合には、コメダ珈琲のブランド名や内外装などを使うことができて、コメダ珈琲新宿西口店のような形で開業できます。

フランチャイズを使えばブランド名などの使用だけでなく、カフェを経営するためのノウハウを教えてくれたり、仕入れルートの確保、従業員の共同募集など、カフェでの勤務経験が少ない人をサポートしてくれる体制が整っています。
そのために、本来ならば勤務経験が少なくてカフェを開業するにはまだノウハウが蓄積できていない人でも、フランチャイズを活用することでその弱点を補強して審査が通りやすくなることがあるようです。
ただし、自己資金のところと同じ考え方ですが、たとえフランチャイズによって経験不足をカバーできたとしても、今までカフェで少ししか働いてきていないということは、本当はそこまでカフェを開業して自分の店を持ちたいという熱意が無いのでは無いかとも判断される可能性があります。
そのような観点からみると、やはりしっかりとカフェで下積みの経験を3年以上行って、全ての業務をある程度1人でも回していけるようになってから開業した方が良いでしょう。
これは大丈夫!こう見えても、もうかれこれカフェで7年くらい働いてるから!
あそ!(意外に忍耐強いタイプなのかな。カプチーノの泡のくせに。)
新店舗の開設を任されたこともあるんだよー!へへへー!
それはかなり良い材料だよ!新しい店舗を作った時の経験などを面談では話して、技術的・経験的には問題ないことをアピールするといいね!
クレジットカードや公共料金などの諸支払いぶりが悪くないか
銀行がカフェ開業の審査でチェックする3つ目のポイントが、 クレジットカードや公共料金などの諸支払いぶりが悪くないかです。銀行がお金を貸す時には貸したお金が本当に返ってくるかどうかを見極めます。
今までに
クレジットカードや電気、ガス、水道などの公共料金、携帯電話代、家賃などで何度も返済が遅れていて、しっかりとお金周りのことは支払いを行わなければならないという認識の低い人は、銀行への返済も遅れる傾向にあります。
当然そのような人にお金を貸してしまうとお金が返ってくる可能性がかなり低くなってしまうので、開業の資金調達をするのが難しくなってしまいます。また、よく世間では”ブラックリスト”という言葉を聞くことがあるかと思います。
クレジットカードや他の銀行からの借り入れで返済が遅れすぎている、または支払うことができずに督促の電話などが来ている、さらに言うと一度自己破産している人などは金融機関の”ブラックリスト”に入っていて金融機関同士で情報が共有されているというものです。
実際に銀行にはブラックリストという呼び方が正しいかは分かりませんが、このようなものが存在しています。具体的には信用情報機関という会社からの情報を参照しており、銀行の借り入れ申込書には必ずここの情報を確認する旨が書かれています。

なのでこれまでの他の金融機関からの借り入れの情報やクレジットカードなどの諸支払いぶりがしっかりしているのかはここから銀行は必ず参照します。
だからと言って過去にクレジットカードなどで何かあったらもう二度と銀行からはお金が借りられないというわけでは無いので、過去に何かあった場合には正直に銀行の担当者に告げて相談をするのが良いです。
以上、銀行がカフェの開業資金を審査する際にチェックするポイントを3点あげましたが、これ以外にも、反社会勢力(暴力団など)ではないか、店舗の立地条件はどうか、住宅ローンなどで高額の借り入れをしていないかなど細かいことをあげればキリがありません。
しかし、自己資金はある程度あるか、これまでにカフェで働いてきた経験があるか、クレジットカードや公共料金などの諸支払いぶりが悪くないかの3点が最も重要な項目であるので、まずはそこを完璧にクリアするようにしましょう。
あ...。学生の頃にクレジットカード止められたことある。
まじかよ!今はもう大丈夫なの?!
今は審査がゆるいクレジットカードを作ったから大丈夫。たまに支払いが遅れるけど...。
しっかり支払わないと微妙だな。信用情報機関は自分でも取得できるから、自分の金融機関の評価を見てみるといいよ。面談では変に嘘つかずに正直に言いな。
日本政策金融公庫から開業資金を調達する流れ
カフェの開業資金を調達する際に、調達先として考慮すべき銀行の筆頭に当たるのが日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫は開業にフォーカスしている政府系銀行であるのでカフェの開業を考えている人にとってはまさにドンピシャです。
申し込み手続きを行う
日本政策金融公庫から資金調達を行うと決めたら、そこから1ヶ月間は勝負が続きます。資金調達の流れはまずは借入申込書と申し込みの際に必要な他の資料を提出することから始まります。
申し込みの際に必要な書類
- ・借入申込書
- ・創業計画書
- ・設備資金の見積書
- ・開業予定カフェの賃貸物件詳細
まずは上記の書類一式を日本政策金融公庫に提出することから始まります。借入申込書は簡単な記載だけですのですぐに書き終わります。設備資金の見積書は購入を検討している業者に言えばすぐに出してくれます。開業予定カフェの賃貸物件詳細も同様に不動産屋に言えばすぐに出してくれます。
おそらく
最も手こずるのが「創業計画書」です。見本があるのでそれを参考にしながら書けば良いのですが、なかなか馴染みのない書類なので書き始めても手が止まってしまう人も多いかと思います。
特に事業の見通しで月間の売上金額や経費の具体的な金額を予測する部分は数字に強くない素人には難しい部分があるかと思います。しかし、実際に開業した時には日々の売上や経費の金額を自ら追っていくことになるので練習も兼ねてじっくり考えて書くと勉強になります。
申し込み手続きを行ったら1週間ほどで審査担当者から電話がかかってきます。初めての申し込みの段階で書類選考落ちをすることはなく、いかなるケースであれ一度は面談を行うことになります。担当者からの電話では面談の日時調整と面談の際に必要な書類を言われます。
えっ、だるっ!すげー面倒臭い!私算数苦手なんだけど!
人は苦難を乗り越えることで強くなれる。
ちょっと冷たくない?
むむむ!仕方ないなあ、そんなあなたのために「ソウギョウノート」を教えてあげよう。これ使えば専門知識なしで質問に答えるだけで創業計画書を作成することができるよ。
やるじゃん!
へへへ〜!
担当者と面談を行う
申し込みを行ったら審査担当者に会って面談をすることになります。面談では申し込みの際に提出した書類とは別に追加でより詳細の資料を提出することになります。
面談の際に必要な書類
- ・預金通帳
- ・借入明細表(住宅ローンや自動車ローンなどがある場合)
- ・運転免許証(身元を証明できるもの)
- ・源泉徴収票(最近の収入が分かるもの)
- ※ケースバイケースで変わることが多い
担当者との面談は30分〜1時間程度かかります。面談の内容は申し込みの際に提出した創業計画書に沿って行われることが多いです。まずはカフェを創業しようと思った理由、これまでの経歴など基本的なことを聞かれて、話が進むにつれて開業するカフェの具体的な話に入っていきます。
カフェとひとことで言ってもいろんなタイプのカフェがあるが、どれくらいの料金体系で、どんなドリンクメニューを揃えて、どんなモチーフで開業する予定なのか、コーヒー豆などの仕入先はどこにするのかなどが聞かれます。
銀行なので当然ながら数字に関する質問も多くされます。具体的には今回の開業に伴う必要な資金総額の詳しい内訳や、自己資金の蓄積過程の確認、今後の売上見込みの根拠となる数字などです。住宅ローンや自動車ローンなどを組んでいる人はその残高や返済状況も合わせて確認されます。
他にも個々のカフェ開業プランに応じてケースバイケースで質問内容や必要になる書類も変わってきます。当然審査の面談は初めてなので緊張するとは思いますが、焦らずにゆっくりと自分の考えてきたカフェ開業のプランを話すのが一番です。

中には質問に答えられずに詰まってしまうこともあるかもしれません。これはあくまで私の意見ですが、そんな時には正直にそこまで考えていなかったと伝えて、自分の創業プランをもう一度練り直してから伝えると返答しても良いのではないかと思います。
その場でなんとか上手い言葉を見つけて突き通せる自信があるならばそれでもいいかもしれませんが、相手も何百という企業を審査してきているプロです。ハッタリで答えてもすぐに見抜かれますし、隠し事や嘘は銀行相手にはタブーです。
面談では何があっても嘘だけはついてはいけません。
お金の貸し借りは信用がベースであり、嘘は信用を一瞬にして壊します。あくまで正直ベースで面談に臨めば、本当に実力がある人ならば審査に落ちることはないでしょう。
審査の結果は2週間くらいで電話にて知らされます。仮に審査に落ちた場合には、落ちた理由を冷静になって自分でも反省して、次回以降の審査や今後のキャリアプランに活かすようにしましょう。
面談の流れ
(ついに今日は銀行での面談の日!頑張れ私!)
今回みさとさんを担当させて頂く伊集院と言います。よろしく願いします。
こっ、こちらこそよろしくお願いします。
今回はカフェの開業資金として400万円のお申し込み頂きましてありがとうございます。では、さっそくですがそもそもカフェを開業しようと思った理由を聞いても良いですか?
はい。私が今回カフェを開業しようと思った理由は、自分で作ったコーヒーを通して1人でも多くのお客さんを笑顔にしたいからです。私は昔からコーヒーが好きで、長年カフェで働いていました。実際に新しい店舗の立ち上げの責任者として働いたこともあります。その時の経験を活かして自分のカフェを開業しようと思いました。
そうですか、ありがとうございます。以前の勤務先での経験を活かして今回の開業ということですが、具体的に以前の勤務先ではどんなことをなされていたのですか?
以前働いていたカフェ&ブックカンパニーでは、初めの2年間はエスプレッソなどのドリンクを作ったり、レジでお客さんの注文を聞いたり、パッケージされているお菓子を提供したりしていました。その後は次第に責任のある仕事も任されるようになり、アルバイトの人の面談をしたり、シフト管理をしたり、売上の管理などもするようになり、店長がいない時は責任者として働くようになりました。
なるほど!では、カフェで働くためのノウハウは一通り学ばれているんですね。
はい!それに加えて新しい店舗の立ち上げも経験しているので、以前の勤務先で学んだことは今回の起業に活かせると思います。
そうですね、ありがとうございます。少し事務的になるのですが、基本的なことについても聞かせてください。まずカフェで扱うドリンクのメニューについてもお伺いしたいのですが、どんなメニューを何種類くらい扱うご予定ですか?
コーヒーのメニューは10種類ほどを考えています。ドリップコーヒーは3種類のコーヒー豆から選ぶことができて、残りはエスプレッソを使ったラテやカフェモカなどを7種類提供したいです。それ以外にパスタメニュー3種類、ケーキなどの洋菓子3種類を取り扱おうと思ってます。
営業時間は何時から何時くらいまでを考えていますか?
サラリーマンが多いエリアなので、朝は7時にはオープンさせて夜は9時くらいまで出来ればなと考えています。
休日は何曜日で考えていますか?
休日は設定せずに、不定休にして基本的には年中無休でお店を開けようと思います。
仕入先ですが、コーヒー豆や洋菓子などを仕入れる業者はすでに決めていますか?
まだ確定ではないのですが、斎藤珈琲豆店からコーヒー豆を定期的に仕入れて、ベルサイユ洋菓子店から洋菓子は仕入れようと思ってます。
支払いのサイトは決まっていますか?
支払いのサイト??
いつ仕入れた商品をいつ入金するかです。
ああ、それでしたら毎月15日までに仕入れた商品は翌月の末に支払う予定になっています。
従業員はお雇いになりますか?
従業員に関しては私と母の2人で行います。後は友人1人がパートで働いてくれる予定です。
なるほどですね。イメージ的にメインとなるターゲット層はどんな人がお客さんになると思いますか?
カフェがサラリーマンの密集するエリアに立地しているので、20代〜30代の会社員男性が多くなるのではないかと思います。実際に近くの競合店にはよく視察に行っていたのですが、そのようなお客さんが多かったです。
サラリーマンのお客さんたちに選んでもらうために、カフェにはどんな長所があれば良いと思いますか?
サラリーマンの人たちは基本的に急いでいる人が多いので、ホットコーヒーは注文が入ってからすぐに提供することを心がけようと思います。また、サラリーマンの人は昼食後に1杯のコーヒーを飲みたくなる人も多いと思うので、朝私のカフェでコーヒーを飲んだ人がその日のうちにまた来たら、1杯100円でお代わりできるようにしようと思います。
なるほど、ありがとうございます。ちなみに競合店に視察に行っているとのことですが、近くには何店舗くらいカフェがあるんですか?
ワンブロックにはチェーン店が1店舗あり、駅周辺まで範囲を広げれば4店舗ほどあります。
結構準備してきているんですね。
どうしてもカフェの開業を成功させたいので。
なるほど。では次に、数字に関することを一通りお伺いさせていただきます。
はい(出たっ、数字...!)
まずお借り入れの状況なのですが、今現在他のところから借り入れはしていますか?
自動車のローンが100万円ほど残っていたと思います。
毎月どれくらいの返済ですか?
毎月5万円くらいです。
自動車ローンの借入明細表を拝見してもよろしいですか?
はい、どうぞ。
...メモメモ。では次に今回の資金400万円の使い道を教えてください。
主に内外装の工事費用に当てようと思ってます。内外装費が300万円、コーヒー器具の購入費用が200万円、最初3ヶ月分の仕入れ費用や広告費用などで100万円かかるので、今回借りる400万円と自分で貯金してきた200万円をこれに当てようと思います。
なるほど。費用の詳細がわかる見積書などはありますか?
はい、どうぞ。実際にはもう少し値切れるかもしれませんが、現状ではこの金額で決まっています。
...メモメモ。自分のお金を200万円出すとのことですが、そのお金が入っている通帳を見ても良いですか?
はい、どうぞ。
事業の売上などの見通しについてですが、軌道に乗った後はどれくらいの売上が出ると思いますか?
毎月売上が120万円くらい出ると思ってます。
なぜそう思うのですが?
商品単価は500円くらいを想定しています。席数が40席あり、1日の回転率が2回転くらいできると思うので、1日の売上=500円×40席×2回転=4万円見込めると思います。なので1ヶ月の売上が120万は行くと思います。
ではその月の費用はどれくらいになると思いますか?
まず原価がざっと30%くらいなので36万円です。家賃が10万円、人件費が30万円、水道光熱費及び雑経費が10万円くらいだと思います。なので、利益は34万円くらいは毎月利益が出ると思います。この利益から毎月10万円ちょっとの返済をしていこうと思います。
分かりました。ありがとうございます。結果については合否に関わらず2週間以内に電話でご連絡しますね。
はい、何卒よろしくお願いします。(ふー、疲れたー!)
契約手続きを行う
審査に無事に通ったら最後は契約の手続きです。契約の手続きは書類にハンコを押したり、サインをしたりとかなり事務的なので特にこれといって特筆すべき点はありません。契約書類を提出したらあとは銀行に入金があるのを待つだけです。
また、開業の申し込みでは”据え置き期間”というものを設定することができます。これは借りたお金の返済タイミングをしばらく送らせることができるというものです。
創業したばかりは売上が軌道に乗るまでに何ヶ月かかかることがあるので、据え置き期間を設けることで、それまでは借りたお金の返済をせずに利子のみ支払うことができます。

売上が軌道に乗る前から返済が始まると、返済がいきなり厳しくなってしまうので、個人的には1年間の据え置き期間を設定して借入を行うのが良いと思います。
以上がカフェの開業に伴って日本政策金融公庫から借入をするまでの流れになります。全体で1ヶ月くらいの長丁場ですが、焦らずに丁寧に進めていきましょう。何よりも大切なことは正直ベースに面談をすることです。
審査どうだった?
どうだろ、言いたいことは言えたけど、分からない...。あ、電話だ!
もしもし、伊集院ですが審査の結果の件でご連絡しました。
...はい。
その後上司とも相談したのですが、今回はみさとさんのご希望通り400万円で融資が通りましたのでご連絡いたします。今後の流れとしては、契約書に捺印などいただければすぐに入金できます。
ありがとうございます!(ガッツポ!!)
(ガッツポ!!)
ワンポイントまとめ
カフェ開業で資金を調達するポイント
- ・銀行からの資金調達は別に恥ずかしいものではないというマインドセットをする
- ・内外装費用などの設備資金でどうしても資金が必要になるケースが多い
- ・銀行で借りる前に身内から借りれないか検討する
- ・日本政策金融公庫が開業融資はおすすめ
- ・自己資金、経験年数、諸支払いぶりが審査のポイント
- ・面談は正直に発言すること
銀行からお金を借りる作業は決して簡単な作業ではありません。何百万というお金が一気に動くのでこちらも相手も慎重になり神経を使います。しかし、カフェの開業をしていく上で資金調達は多くの人に降りかかる課題です。自分のカフェを持つという夢の実現に向けて、ひとつずつ課題をクリアしていきましょう。
カフェの開業支援についてもっと詳しく知りたい方やより具体的な質問などある方はお問い合わせ頂ければと思います。
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