コーヒーの香りにはリラックス効果がある!そのメカニズムについて

コーヒーの香りにはリラックス効果がある!そのメカニズムについて

コーヒーをドリップしている時にコーヒーの香りを嗅いで何かホッとした気分になる人も多いかと思います。コーヒー好きにとってコーヒーの粉にお湯を注いだ瞬間のあの香りはとても心地よい感じがします。 そんなコーヒーの香りですが、実は人間の脳に良い影響を与えて、リラックスできる効果があることが科学的にわかっています。今回はそんなコーヒーのリラックス効果について書いていこうと思います。

コーヒーの香りのリラックス効果

疲れた時などにコーヒーを飲むとリラックスすることができて、心身ともにくつろぐことができるという経験をしたことがある人は多いです。と言うより、コーヒーをよく飲む人の中にはそれを期待してコーヒーを飲んでいる人もいると思います。 そんな経験を科学的に証明したのが杏林大学医学部精神神経科の古賀良彦教授です。彼の研究チームはコーヒーが脳に身体に与えるリラックス効果を測定するために、α波(アルファ波)という人がリラックスしている際に後頭部から出る脳波について、コーヒー粉末、レモン油、蒸留水を用いて比較実験を行いました。 対象者は若い20代の女性10人で、ブラジルサントス、グアテマラ、ブルーマウンテン、モカマタリ、マンデリン、ハワイコナの6種類のコーヒー豆を用いて実験しました。その結果、コーヒーの香りを嗅いだ際に最も多く脳からα波が出ることが分かり、コーヒーのリラックス効果が科学的に証明されました。
参照記事
コーヒーに含まれるクロロゲン酸が身体に与える効果・効能

コーヒー豆の産地や焙煎によってリラックス効果は変わる

興味深いのは、ブラジルサントス、グアテマラ、ブルーマウンテン、モカマタリ、マンデリン、ハワイコナの6種類のコーヒー豆によってリラックス効果が異なる点です。具体的には、グアテマラとブルーマウンテンはα波が多く出てリラックス効果が大きいのに対して、マンデリンやハワイコナはα波が少なくてリラックス効果は小さいという結果が出ました。 このことから、コーヒー豆の種類に応じてリラックス効果の影響力が異なることが分かります。また、コーヒー豆の種類だけでなく、焙煎具合によってもリラックス効果が異なるそうです。 浅煎り、中煎り、深煎りと焙煎具合が違うコーヒー豆を使って比較実験を行ったところ、右脳後部において最も強いα波が見られたのは深炒りのコーヒー豆だったそうです。よりリラックスしたいなら深煎りのコーヒー豆を使用した方が良いです。
このようにコーヒーのリラックス効果は全てのコーヒー豆で同程度に見られるわけではなく、産地や焙煎具合によってその効果は異なってくることが分かります。

コーヒーが香りを出すメカニズム

このようにコーヒーの香りにはリラックス効果がありますが、そもそもコーヒーが香りを出すまでの流れはあまり知られていません。コーヒーは最終的に飲むまでに焙煎という過程があります。これはコーヒーの生豆を”炒める”ような工程であり火で熱します。 この焙煎の段階でコーヒー豆に含まれている脂質がふんわり染み出して行き、この染み出た脂質こそが香りのもとだと言われています。また、コーヒーの生豆に含まれているタンパク質や ショ糖は甘い香りを出し、 クロロゲン酸 やトリゴネリンは焦げたような香ばしい香りを出すと言われています。
参照記事
コーヒーのカフェインによる利尿作用メカニズムとその対策

カフェインのリラックス効果

コーヒーのリラックス効果は香りだけでがありません。コーヒーに含まれているカフェインにもリラックス効果があることが知られています。中村大学栄養科学科の青峰正裕教授らは実験用のネズミを使ってこれを証明しました。
動物の脳内はストレスを受けると様々な神経伝達物質が放出されますが、彼の研究チームはネズミを動けないように拘束してストレスを与え、拘束から解放した後の放出物質を調査しました。その結果、生理食塩水はストレス減少が15%であるのに対して、コーヒーでは63%のストレス減少が見られ、カフェインでは66%のストレス減少が見られました。このことからコーヒーの成分であるカフェインにはリラックス効果があることが証明されました。 このようにコーヒーには人をリラックスさせる効果があります。ちょっと疲れた時に1杯飲むコーヒーには科学的なリラックス根拠があったのです。
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