コモディティコーヒーの値段は農地でなく先物市場で決まる

コモディティコーヒーの値段は農地でなく先物市場で決まる

今回は普段何気なく飲んでいるコーヒーの価格がどのように決まっているのかに注目したいと思います。例えばスターバックスコーヒーではショートサイズのホットコーヒーが302円(税込)で売られていますが、その値段は元をたどっていくと、コモディティコーヒーの先物取引所で決まっています。

目次

1). コモディティコーヒーの価格は先物取引所で決まる 2). コモディティコーヒーはグレードに応じて値段が決まる 3). コモディティコーヒーvsスペシャリティコーヒー

コモディティコーヒーの価格は先物取引所で決まる

(1) アラビカ種はニューヨーク取引所、カネフォラ種(ロブスタ種)はロンドン取引所で行われる

コーヒー豆は大きく「アラビカ種」とか「カネフォラ種(ロブスタ種)」の2種類に分けられます。アラビカ種はざっくり言うと美味しくて高いコーヒー豆です。スターバックスやコーヒー豆の専門店などでは基本的にこのアラビカ種が使われています。 一方で、カネフォラ種(ロブスタ種)はざっくり言うとそこまで美味しくないけど安いコーヒー豆です。このコーヒー豆は缶コーヒーやインスタントコーヒーなどで使われています。
これらのコーヒー豆の値段を決めるのが先物取引所です。この先物取引所によってコーヒー豆の値段を世界のルールみたいな形で決めってしまい、コーヒーの値段をここで決めてしまうわけです。アラビカ種のコーヒー豆はニューヨークの取引所で決まり、カネフォラ種(ロブスタ種)のコーヒー豆はロンドンの取引所で決まります。 実際には輸入の度に値段の交渉を行行うこともあるのですが、実際に値段を交渉してから商品が届くまでに時間がかかってしまい、コーヒー豆の相場が変動してしまうことがあります。この先物取引所はコーヒー豆の価格交渉をしてから実際に輸入されるまでの間に価格が変動してしまうリスクを回避するためにも使われています。 ほとんど全てのコーヒー豆はこのような仕組みで値段が決定しています。そしてこの仕組みで値段が決定するコーヒー豆のことをコモディティコーヒー(またはコマーシャルコーヒー)と言います。
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(2) 必ずしも需要と供給だけでコモディティコーヒー豆の相場は決まらない

この先物取引所ですが、必ずしも需要と供給の関係だけでコモディティコーヒー豆の値段が決まるわけではありません。一般的にはコーヒー豆が欲しいという人が多くて、コーヒー豆の生産が少ないと、需要が多くて供給が少ないので値段は上がります。 逆にコーヒー豆が欲しいという人が少なくて、コーヒー豆の生産が多いと、需要が少なくて供給が多いので値段は下がります。しかし、特にコーヒー豆が欲しいというわけではないんだけど“投資物件”として取引所に参加する人もいます。 例えば今後は地球温暖化の影響でコーヒー豆の生産が少なくなると投資家の人が将来を予測した場合に、実際にはどうなるか分からないけど今のうちにコーヒー豆を買ってしまおうという人が出てくるかもしれません。
その場合には、実際の需要と供給とは関係なしに、コモディティコーヒーの先物市場の値段が決定してしまいます。コーヒーに限らず、このような投機目的による農産物の値段が決まってしまうことは度々問題になっています。 このようにコモディティコーヒーの先物値段は日々変動しています。さらにコモディティコーヒーの取引はドルで行われるので、日本にそのコモディティコーヒーを輸入する際には、円に戻して換算する必要もあるので、為替相場の影響も大きく受けます。
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コモディティコーヒーは等級付けに応じて値段が決まる

これらのコモディティコーヒーは全てコーヒー豆ということで一括りにされているわけではありません。当然どの国で収穫されたか、その中でもどのタイプのコーヒー豆なのかなどによって等級付けされていきます。 このコーヒー豆の等級付けですが、世界共通のルールがあるわけではありません。例えばコロンビアではコーヒー豆粒の大きさで等級付けが決まります。グアテマラやメキシコではコーヒー豆が栽培される標高の高さで等級付けが決まります。コモディティコーヒーではこの等級付けによってコーヒー豆の値段が決定します。 この等級付けは確かにコーヒー豆の品質を客観的に見るには良い指標なのですが、等級が高ければ確実に美味しいというわけではありません。それはどこで誰がどんな状況で作ったのかという要素が反映されないからです。 しかしこの等級付けに応じてコモディティコーヒーの値段が決定するシステムがあるからこそ、私たちは安定的にコーヒーを輸入することができるので、一長一短のシステムであるともいえます。

コモディティコーヒーvsスペシャリティコーヒー

コモディティコーヒーは今までご説明した通り、先物市場で需要と供給の関係や投機的な動きによって値段が決定します。一方で、スペシャリティコーヒーはコーヒー豆の品質に応じて値段を決定しようとしています。 スペシャリティコーヒーは市場の価格と連動することはなく、品質の高いコーヒー豆を作ればその分値段が上がる仕組みになっています。スペシャリティコーヒーはコモディティコーヒーに比べて値段が高くなる傾向があります。
参照記事
コーヒー豆の適切な保存方法・場所と容器について【保存版】
スペシャリティコーヒーの特徴として、トレーサビリティが明確になっていることがあります。これは生産者の顔が見える形で、生産、加工、流通までその流れがしっかりと見える形になっています。そのためによりコーヒー豆の品質が向上します。 世界に流通しているコーヒー豆の95%がコモディティコーヒーであり、5%がスペシャリティコーヒーです。そのためにスペシャリティコーヒーでは生産量が少ないので、大規模な宣伝やマーケティング活動をすることができません。
より高品質なコーヒー豆を使用するためにスペシャリティコーヒーを使用するカフェも最近では増えてきていますが、実際にはコモディティコーヒーとスペシャリティコーヒーは微妙なところもありますし、スペシャリティコーヒーだから確実にコモディティコーヒーよりも美味しいというわけではありません。 しかし、スペシャリティコーヒーは生産者にとっても消費者にとっても上手に活用すれば良いものであり、期待は日々高まっています。
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