アフリカ大陸南東部に位置する国「タンザニア」。
コーヒーの生産量として決して上位というわけではないのですが(世界で例年20位前後)、敷地には標高5895mの山「キリマンジャロ」があり、同名のコーヒー豆は日本でも馴染みのある品種ですね。
タンザニアコーヒー・キリマンジャロには、どんな歴史や特徴などあるのでしょうか。

出典:https://ja.wikipedia.org/
タンザニアコーヒー=キリマンジャロ?
タンザニアで栽培されるコーヒーはほとんどが「アラビカ種」(コーヒーノキの品種の一つ、ロブスタ種に比べて高品質)です。
コーヒー栽培が国内で始まった当時より、主にキリマンジャロの高地、斜面で行われていたため、現在ではタンザニア産のコーヒー(アラビカ種)そのものを「キリマンジャロ」と呼んでいます。

標高としては1500m~2500m付近で農地を耕し、栽培されています。味はさっぱりとした味わいで、酸味寄りのタイプです。
どうしてキリマンジャロという名前が広まったかというと、アメリカの小説家ヘミングウェイが発表した作品「キリマンジャロの雪」の影響が大きいと言われています。同作は映画にもなり、世界中でヒットします。こんな経緯から、原産国であるタンザニアよりも産地キリマンジャロの名前が広まったのです。
そして1993年の規約変更に伴い、タンザニア産のアラビカ種全てをキリマンジャロと呼んで良いことになりました。
世界で見ればそれほど大規模な産地ではないタンザニアのキリマンジャロが、日本でもポピュラーに知られているのはこのためなのですね。
タンザニアコーヒーの歴史
タンザニアコーヒーには、少し皮肉な歴史があります。
元々は1890年代、アフリカ諸国を植民地としていたドイツが、タンザニアでコーヒーの生産を行おうとしました。タンザニアにコーヒーノキを持ち込んだのはギリシャ人が初めと言われていますが、その後、ドイツ人やイギリス人もタンザニアをコーヒー生産国にと選んだのです。
ですが地域によっては、雨量が多過ぎるなどの理由で、栽培は難航。また当時は労働者も不足していたといいます。すでに奴隷制度が廃止されており、植民地とはいえ、自由には出来なかったというのです。
ですが同時期、キリマンジャロの麓に住むチャガ族がコーヒーの栽培をすでに開始していました。コーヒーは高地で育つという定説が、当時のヨーロッパ人にはまだ浸透していなく、現民族の知識を借りるより他にありませんでした。チャガ人はとても勤勉で頭の良い民族として知られ、その後のタンザニアコーヒー・キリマンジャロの世界的な普及に多大な尽力をしました。
それからは先に述べたキリマンジャロという名の広まりに従い、コーヒーもどんどん普及されていき、今に至るのです。

まとめに
キリマン(キリマンジャロ)は酸味に特化した爽やかなコーヒーで、個人的にも愛飲しています。また深煎りにすることで独特の苦みを出すことが出来るようですね。
またタンザニアという国名よりも有名になったキリマンジャロというブランド。しかも全てをそう名付けているのですから、紛らわしいと言いますか…少し難しいと思われてもいるようです。
・タンザニアで作られたアラビカ種コーヒー全てをキリマンジャロと呼ぶ。
・ドイツやイギリスがコーヒー栽培を始めようとしたが難航、後に原民族であるチャガ人が手を尽くし、成功した。
餅は餅屋と言いますか、やはり現地の民族に知識や経験では敵わなかったという歴史が、キリマンジャロコーヒーにはあったのですね。