世界でコーヒーを最も楽しんでいる国がどこかは誰にもわかりませんが、少なくともトルコは間違いなく上位にランクインしてきます。コーヒーを飲む文化はかなり古く、昔からコーヒーは人々の生活の中心にありました。
トルコで美味しいコーヒーを淹れることが花嫁修業の1つとも言われています。また、ことわざにも「1杯のコーヒーにも40年の思い出」というものがあり、これは1杯の美味しいコーヒーをお客さんに提供すれば、長い間ずっと恩返ししてもらえるという意味です。
このようにトルコではコーヒーが人々の生活に密着していますが、コーヒーは伝統的なの見方である「トルココーヒー」という方法で今でも飲まれることがあります。今回はそんなトルココーヒーについて書いていきます。
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目次
1). トルココーヒーとは何か
2). イブリック(ジャズベ)とは何か
3). トルココーヒーの作り方
4). トルココーヒーの味
トルココーヒーとは何か
「トルココーヒー」と聞くとトルコ産のコーヒー豆のようにも見えますが、トルココーヒーとはコーヒー豆の種類ではなくて、トルコで伝統的に飲まれている特殊なコーヒーの飲み方です。
トルココーヒーをひとことで言うと、イブリックと呼ばれる小さい鍋でコーヒー豆を煮詰めてからその上澄み飲む、エスプレッソのように濃縮されたコーヒーです。トルココーヒー以外にも、「ターキッシュコーヒー」や「トルコ式コーヒー」など様々な呼び方がりますがどれも同じ意味です。
濃縮されたコーヒーはエスプレッソの原型であるとも言われており、2013年にはユネスコの無形文化遺産にもトルココーヒーは登録されました。トルコにおいてトルココーヒーは、冠婚葬祭には欠かせない伝統的なものであり、長年にわたってその文化が継承されてきたことなどから世界文化遺産に登録されました。
トルココーヒーの歴史は古く、450年以上前のオスマン帝国時代で皇帝にコーヒーが献上されるようになったのがきっかけでした。そこから次第にトルコ国内で飲まれるようになり、ヨーロッパへも広がりました。
ちなみにギリシャにもギリシャコーヒーというコーヒーの飲み方があるのですが、これは実際のところトルココーヒーと全く同じです。ギリシャとトルコは昔から仲が悪いので、それぞれが別々の名前で呼んでいます。
ちなみにペーパードリップやネルドリップ(紙の代わりに布でドリップする方法)でコーヒーが飲まれるようになったのは、トルココーヒーの100年以上後ですので、トルココーヒーがいかに長い伝統を持っているかが分かります。
イブリック(ジャズベ)とは何か
トルココーヒーを語る上でどうしても欠かせないのが「イブリック」というコーヒー器具です。イブリックとはコーヒーを煮込む際に使う小さい鍋のようなものです。イブリックはジャズベとも呼ばれますが、どちらも同じものです。
銅または真鍮(しんちゅう)製でできており、小さい容器に長い持ち手が付いているので、日本の“ひしゃく(神社とかにある水をくむ道具)”に似ています。120cc〜200ccくらいのコーヒーを1回に作ることができます。
このイブリックにコーヒーと水を入れて煮込むのですが、小さい容器に入れてゆっくりと煮込むので濃厚なコーヒーを作ることができます。このイブリックを使うからこそ、ドリップでは味わえない独特なコーヒーを作ることができるのです。
トルココーヒーの作り方
トルココーヒーの作り方はいたって簡単ですので、ご自宅でもトルココーヒーを作ることが可能です。手順としては、まずイブリック(小さい鍋でも大丈夫です)にコーヒーの粉と水と砂糖を入れます。
コーヒーの粉はできるだけ深煎りの苦いコーヒー9gをできるだけ細かく挽いたものにします。水は70ccくらいを目安にすると良いでしょう。砂糖は好みに応じて入れなくても良いですが8gを目安にすると良いです。
次にイブリックを弱火で火にかけて、かき混ぜながら温めます。沸騰して泡が吹き立ってきたら、いったん火を消して落ち着かせます。落ち着いてからコーヒーをかき混ぜて、再度弱火でイブリックを温めて泡立つのを待ちます。
この沸騰と火を止めるという作業を3回繰り返したら完成です。さっぱりした味が好みの場合には、1回のみでも良いですが本場の味が楽しみたいならば3回は繰り返した方が良いです。
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- デミタスカップとエスプレッソカップの違いは何か
煮詰める作業が終わったらデミタスカップにコーヒーの粉ごとコーヒーを注ぎます。デミタスカップにコーヒーを移したら、コーヒーの粉が沈むのを待ち、すべて沈んだらコーヒーの粉を飲まないように上澄みだけ飲みます。
ちなみにトルコではコーヒーを飲み終わったらコーヒーカップで占いをする文化があり、飲み終えたコーヒーカップをソーサーにひっくり返して、カップの底に残ったコーヒーの粉の形に応じて、運勢を占うそうです。
トルココーヒーの味
トルココーヒーの味をひとことで言うと、濃厚でドリップよりもエスプレッソ寄りの味がします。トロリとした濃厚な味わいとコクがあります。
ドリップコーヒーを飲みなれている日本人にはなかなか馴染みのない味になります。濃厚なので、砂糖や牛乳を入れて好みの味にアレンジするケースが多いので、砂糖の量は意識して調整した方が良いです。
ユネスコから世界文化遺産に登録されたトルココーヒーですが、コーヒー好きならば1度は飲んでみたいコーヒーになります。
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