南米にある国ベネズエラ(正式名称:ベネズエラ・ボリバル共和国)は、かつて世界トップクラスのコーヒー生産国でした。
現在ではずいぶんと縮小し、また他国で味わうことも難しくなってしまったベネズエラコーヒー、一体どんなものなのでしょうか。
ベネズエラコーヒーの歴史
ベネズエラというとどんなイメージがあるでしょう?
野球?ラテンの国?一般にはそのようなイメージが強いかもしれませんが、実はベネズエラは南アメリカ大陸随一の自然の宝庫なのです。原石や資源、特に原油(石油)の埋蔵量が世界一です。
冒頭で書いたようにベネズエラは、1960年代くらいまではコーヒー大国コロンビアと並ぶほどのコーヒー生産国でした。ですが石油の産出によって一気にコーヒー生産は重要視されなくなり、縮小していったのです。石油以上の高価値な資源、産業は存在しませんから、仕方ないといえば仕方ないのですが、文化としてコーヒーを愛した人々にとっては寂しい時代の流れといえますね。
しかしその後、1980年頃には原油価格が落ち着いてしまい、輸出産業の9割を賄っていたその影響で国の経済は著しく悪化、またその不景気は現在も続いています。
コーヒー生産量は2018年データで、年間約43000トン。決して少なくはありません。
ベネズエラのコーヒー産業が昔のように盛んになる日は来るのでしょうか。
ベネズエラ産コーヒーの特徴
ベネズエラは南側にブラジル、西側にコロンビアと隣接しています。またコロンビア側から続くアンデス山脈があり、その山間でコーヒーが育てられています。
銘柄としての「ベネズエラコーヒー」を中々見かけないのは、輸出以上に国内での消費量が多く、7割近くは国内消費に回されているからです。国外で見かけるベネズエラコーヒーは結構レアかもしれませんね。
味わいは「南米らしくない」としばしば表現されます。南米というと、スタンダードなブラジル、爽やかな風味のコロンビアなどがあり、ストレートでもぐいぐい飲めるコーヒーが多いイメージがありますが、ベネズエラ産は酸味と香りがしつこくなく、強い苦味があるのが特徴です。ラテにするのもオススメとされていますね。酸味が少ない分、ミルクのまろやかさと相まってとても飲みやすくなります。
まとめに
ベネズエラ産のコーヒーは、海外で見かけることの中々ない希少なコーヒーとなってしまいましたが、酸味の少ないラテ向きのコーヒーは、とても人気が出そうなのにもったいないですね。国の情勢回復とともに、またベネズエラのコーヒー生産が伸びてくれたら良いです。
ちなみにベネズエラでは、ホットチョコレートをぐびぐび飲む習慣があるようですね。コーヒーとは関係ないですが…。