「ウインナー・コーヒー」という名前をカフェのメニュー表で見たことがある人は多いのではないでしょうか。ウインナーといったら弁当に入っているタコさんウインナーをまずは連想しますが、まさかあのウインナーでは無いだろうと何となくわかります。
カフェのメニュー表にあるウインナー・コーヒーとはコーヒーの飲み方の一種であり、ひとことで言うと、砂糖(またはザラメ糖)入りのコーヒーに生クリームを乗せたものになります。発祥は海外で、日本でも人気の高いメニューです。今回はそんなウインナー・コーヒーについて書いていこうと思います。
目次
1). ウインナー・コーヒーとは?
2). ウイーンとコーヒーの関係
3). ウインナー・コーヒーの飲み方と味
4). ウインナー・コーヒーの作り方
5). 他の国の伝統的なコーヒーの楽しみ方
ウインナー・コーヒーとは?
先ほども軽く書いたように「ウインナー・コーヒー」とは、コーヒーに砂糖(またはザラメ糖)を入れてその上に生クリームを乗せた飲み物です。ウインナー・コーヒーと聞いてまず何より気になるのがその名前だと思います(笑)
この場合の“ウインナー”とはお肉のウインナーではなく、“ウィーン風の”という意味です。
「ウィーン」という名前が入っていることからもわかるように、ウインナー・コーヒーの由来はオーストリアの首都「ウィーン」から来ています。コーヒーの本場というと、南米ならブラジルやコロンビア、ヨーロッパならイタリアやフランスをイメージしがちですが、オーストリアにもしっかりとカフェ文化が根付いているのです。
そこから他の国にも広がって世界中で飲まれるようになりました。アメリカのコーヒーを「アメリカン・コーヒー」と呼ぶことと同じ発想ですね。ちなみに、「ウインナー」が「ウィーン流」を意味すると説明しましたが、日本で呼ばれるお肉のウインナーソーセージも、「ウィーン流」という意味で、実は同じ言葉です。
ですが、実はウィーンにはウインナー・コーヒーという名前のコーヒーは存在せず、「アインシュペナー」と呼ばれている飲み物がウインナー・コーヒーに最も近い飲み物として伝統的に飲まれています。
なので、オーストリアで「ウインナーコーヒーください!」と言っても通じないので注意が必要です。
ウインナー・コーヒーは国や喫茶店によって微妙に飲み方が異なっており、例えばホットコーヒーを使うところもあれば、エスプレッソを使うところもあります。生クリームを使うところもあれば、フォームミルクを使うところもあります。
このように世界によってウインナー・コーヒーの飲み方はまちまちなのですが、「コーヒー+クリーム」という形は同じであり、世界中で飲まれている人気なコーヒーの飲み方となっています。
- こちらも参考にしてくださいね!
- コーヒーに生クリームを入れてみた?ウィンナーコーヒー
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ちなみに余談ですが、タレントのタモリさんは芸能界でデビューする前に喫茶店でマスターをしていたそうです。その際にウインナー・コーヒーの注文が入った際にはウインナーソーセージを入れたコーヒーをウケを狙って出していたそうです。
本当にウインナーソーセージを出す喫茶店として地元の博多では名物になっていたそうですが、これはタモリさんのトーク力があってこそ成立していたと思います。さすがタモリさんは器が大きいですね(笑)
ウィーンとコーヒーの関係
今回はウインナー・コーヒーについて、ということで簡単にオーストリアのウィーンとコーヒーの関係についての歴史も振り返りたいと思います。
ウイーンでコーヒーが飲まれるきっかけとなったのは、何と戦争で敵国によって攻め込まれた際であると言われています。1683年に当時絶大な勢力を誇っていたオスマントルコ軍がウィーン包囲をした際に、トルコ人がコーヒー豆をたまたま置いて帰り、それを飲んでみたら美味しかったというのがウィーンのカフェ発祥のきっかけとなったとのこと。
ちなみに「トルコ・コーヒー」というもの(コーヒーを直接煮出して、上澄みを飲むスタイル)もあり、トルコにも独自のコーヒー文化があるのです。伝来の話が事実なら、元は上澄みを飲むトルコスタイルだったのが、砂糖やザラメを足してクリームも乗せ、甘くして飲もうという進化を遂げてウィーン流のウインナー・コーヒーが生まれたのでしょう。
そんな経緯もあり、ウィーンではカフェが大ブームし、19世紀には著名人たちがカフェに集まっては1日を過ごすという憩いの場として利用されました。ウインナー・コーヒーはそのような経緯でカフェ文化が発達したウィーンで考案されて飲まれ始めました。
ちなみに余談ですが、ウィーンで現在最もよく飲まれているのは、ウインナー・コーヒーに似ているアインシュペナーではなく、「メランジェ」というカプチーノのような飲み物だそうですよ(笑)
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ウインナー・コーヒーの飲み方と味
ウインナー・コーヒーの売りは何と言っても「1杯のカップで様々な味を楽しめる」点でしょう。
ウインナー・コーヒーはまず、ホイップクリーム・コーヒー・砂糖(ザラメ糖)で構成されています。コーヒーに砂糖やミルクを入れた際には、本来それらをスプーンで混ぜ合わせるのが一般的だと思いますが、ウインナー・コーヒーは砂糖や生クリームを混ぜないのが一般的で、通の飲み方とされています。混ぜないことで、それぞれの良さを引き出すことができるのです。
ウインナー・コーヒーを飲むと、
1、コーヒーの苦味を感じる。
2、ホイップクリームがコーヒーに溶け、甘味とまろやかさが混ざり合う。
3、コーヒーの底に溶けきれずに沈んでいた砂糖の甘さが感じられる。
このように口の中で3度の味が楽しめます。まさに1杯で3度楽しいコーヒーといえるでしょう。
その美味しさと楽しみ方の広さから世界中で愛飲されるようになり、日本でも多くの喫茶店やカフェでウインナー・コーヒーを取り扱うようになりました。
- 参照記事
- カフェ・フローリアンとは何か-世界で最も古いカフェ
ウインナー・コーヒーの作り方
ウインナー・コーヒーは喫茶店に行っても飲むことができますが、ご家庭でも簡単に作ることができます。必要なものは、コーヒー、生クリーム、ザラメ糖(砂糖)の3つだけです。
<ウインナー・コーヒーの作り方>
1.まず生クリームを泡立ててホイップクリームを作ります。
この生クリームにはお好みで砂糖を入れても良いですが、砂糖を入れない方がより本場に近いウインナー・コーヒーに近くなります。
2.次に、コーヒーを抽出(ドリップ)します。
コーヒー豆は少し苦めに淹れる方がマッチします。深煎りのコーヒー豆を細めに挽くとより美味しくなりますが、お好みで色々試してみると良いでしょう。
3.マグカップにザラメ糖(砂糖)を入れて、底にコーヒーを注ぎます。
ザラメ糖が無い場合には砂糖でも良いのですが、ザラメ糖の方がコーヒーに溶けにくく、よりウィンナー・コーヒーを楽しむことができます。
4.最後に、泡立てた生クリームをコーヒーの上に乗せたら出来上がり!
コーヒーと生クリームのコントラストの見た目が綺麗なので、陶製のカップよりも、耐熱性のあるグラスに入れると美しいです。
また、ドリップコーヒーではなくエスプレッソを使っても美味しいですが、なかなか家庭でエスプレッソを準備するのは難しいかと思います。日本ではやはりエスプレッソよりもホットコーヒーの方が一般的ですね。
お店によっては、シナモンスティックを一緒に出してくることもあります。シナモンスティックは香りや風味をつけるために用いるので、コーヒーに浸してやると良いでしょう。前述したように、かき混ぜるのはウインナーコーヒーには厳禁です。
温かいウインナー・コーヒーだけでなく、冷たいアイスのウインナー・コーヒーも一応は作ることができ、実際にコメダ珈琲ではアイス・ウインナー・コーヒーを提供しています。
ザラメ糖をガムシロップにして、ホットコーヒーをアイスコーヒーにするだけなのですが、アイスで作ると、生クリームがアイスコーヒーと分離してなかなか本来のウインナー・コーヒーを楽しむことができないようです。
他の国の伝統的なコーヒーの楽しみ方
ウインナー・コーヒーはウィーン発祥で、ホットコーヒーにザラメ糖と生クリームを入れることで美味しくアレンジしていました。しかし、ホットコーヒーを甘くアレンジして飲んでいるのは、何もウィーンだけではありません。
ベトナム式コーヒー
ホットコーヒーを甘くアレンジし伝統的に飲む方法として、「ベトナム式コーヒー」があります。これはコーヒー豆を焙煎する段階で、バター、砂糖、カカオなどを追加して焙煎し、抽出したコーヒーには甘いコンデンス・ミルクを追加するものです。
ベトナムでは低品質なロブスタ種のコーヒーがよく生産されており、どうしてもブラックでコーヒーを飲むと強い苦みを感じます。そのためにこのような甘くアレンジするコーヒーが伝統的に飲まれるようになったのです。
- 参照記事
- ベトナムコーヒーとは何か?その淹れ方と味の特徴
トルココーヒー
前述した、ウインナー・コーヒーのルーツとされるトルコスタイルです。コーヒー豆を直接煮出し、上澄みを飲むというもの。コーヒーそのもののルーツに近いですね。アラブの国々が発症の「バン・カム」と、方法としては似ています。
ギリシャコーヒーもトルココーヒーと全く同じなのですが、国同士の関係が悪いので別々の名前で呼んでいるそうです(笑)
- 参照記事
- トルココーヒーとイブリックとは?その入れ方と飲み方について
ウインナー・コーヒーのことがおわかりいただけたでしょうか。
ウインナーとは「ウィーン流」「ウィーン発祥」という意味であり、オーストリアの首都ウィーンで生まれた伝統的なコーヒーの飲み方です。その美味しさから現在では世界中で飲まれています。喫茶店でも取り扱っている店が多いですし、ご自宅でも簡単に作れるので、一度飲んでみると良いでしょう。もしかすると、とてもアナタ好みのスタイルかもしれませんよ!